□月 ●日  No778 返品不能の余波


このところ世界的な燃料費高騰で、幻想郷にも若干ではあるが影響が出ている。
特に最近、メーカー返品が出来なくなってきているのである。
返品は簡単にできるものというイメージがあるがそれはあくまで小売店での話。


仕入れの段階での返品は、何か商品に致命的な欠陥がない限りは
基本的に返品は出来ないと考えた方が良い。
なぜなら返品には輸送が絡むからだ。 輸送代は無料ではない。
つまり、返品しても輸送した代金はメーカー丸損となる。
このところの燃料費高騰でただでさえでもコスト高になっているところに加えて
返品による丸損のリスクまで抱えていられないというわけだ。


これまでも返品でき無かった商品を幻想郷で安く卸すことがあったが
今までできたものも出来なくなったため、物事が単純では済まなくなってきた。
幻想郷に物品が溢れても駄目なのだ。 
なぜなら幻想郷の内需はほぼ一定で、下手に増やそうものなら反動が大きいこと。
そして物資自給率を引く押さえ込む原因となることが挙げられる。


最近では外の世界に済んでいる妖怪向けにも商品を販売することで
問題を解決しているが、商売に成功した妖怪が多くいる中
安物を買うという発想が余りなくて困る。


といっても今回のようにモノが幻想郷に溢れかえる現象は
今のところ好意的に受け止められている。
何せ幻想郷には勿体ないという思考がまずあるので
こうしたアウトレット商品は割と安いだけの新品という印象があるのだ。


香霖堂でも最近さらにモノが溢れている。
幸い地下妖怪との交流や月人との交流により内需が拡大しているので
今のところはバランスがとれているが、
今後は色々と大変になりそうだ。


社内では仕入れの際に注意するように通達が流れている。
ロット販売品などはどうするのかと朝倉が憤慨してるが
これはこれで仕方ない。 
でも彼女の場合は発注ミスをどうにかするべきだと思うのはどうだろうか。


最近地上でショッピングを覚えた死体運び猫が死体の代わりにモノを運ぶ場面を
よく見かけるようになった。 まあ買い物はほどほどにしておかないと
地霊殿の予算は紅魔館ほどは潤沢ではなかったと思う。
そろそろ地霊殿の主人に報告しようか悩む。
悩んでいたら、即刻読まれるのだが言うのと言わないのとでは天と地ほどの差があると思う。
今後、色々面倒なことになりそうだ。