□月 ●日  No903 地下世界の節分前夜


今年も節分に備えて大量の大豆を搬入。 最近顕界で穀物価格が上昇していることから
調達がかなり大変になっている。 幻想郷でも可能な限り自給できるように動いているが限界はある。


鬼が沢山住んでいる地下では鬼は外なんて言えないのは当然の話。
怪力乱神でお馴染みの星熊童士なんか本当はマメがあたってもあまりダメージがなかったりする。
さすがに月謹製の桃があたるとちょっと痛いようだ。
彼女らに言わせると節分は鬼退治と言うより魔除けだから自分たちは関係ないらしい。
無理矢理過ぎるがそんなものだ。


でこの時期になると会社の男性陣は皆こぞって地下に行きたがる。
顕界の鬼たちも幻想郷へ避難していることが多いからだ。
地下にいる鬼たちは露西亜系の美人揃い。スタイルはいいし、運動量は多いから体型が崩れないときている。
みんなスケベ心丸出しで地下に向かって突貫する。カメラを持って。 
そんな皆の姿を北白河や浅間とか朝倉が呆れた表情で見ている。
こんな調子だからバレンタインで義理チョコすら貰えなくなると思うのは私だけであろうか。


地霊殿にちょっとした商品を届けていたら地獄鴉たちがもういくつ寝ると節分と
涎を垂らしながらうすら笑みを浮かべていた。
連中にとっては撒かれたマメや桃は最高のご馳走なんだそうだ。 
全力で食べるためと称して水を飲んで胃をでかくするんだと息巻いている。
死体運び猫が呆れた表情でこれ以上太ったら空とぶの大変だよと言っても無視。
まあ獣だから仕方ないと思う。


地霊殿の主人からこっちにはあまりマメを撒かないでくれと念を押された。
善処しますと答えたがうちの会社の現状を読み取ったのか嘆息している。
嘆息したいのはこっちの方だ。


会社に帰ったら冴月が今年もマメの季節だとやたら上機嫌だった。
今更ながら思い出した。 彼女もトリだった。
彼女の狙いは灼熱妖怪とのフュージョンだろう。二人が合体すればおいしさも共有できるはずだ。
結局、あなたは顕界で勤務とボスに言われて肩を落とすことになった。
彼女の背中がちょっと怖かった。