一応毎日の日課と言っては何だがジョギングだけは欠かさないようにしている。
幻想郷でも同じ事をしていたのだが周辺住民から変な走り方だと言われてびっくりする。
実は幻想郷と外の世界で走り方の考え方がかなり違うのである。
幻想郷の走り方は手を振って足を上げるものではない。
所謂すり足を基準とした、言うなれば時代劇で見るような走り方である。
一見するとこのような動きはあまり速度も出ないように見えるのだが、高速移動を旨とする妖怪は
最終的にそういう走りへ変貌するという。
鴉天狗の高速移動を見るとよくわかる。 重心が低くなり体幹の動きが一気に減る。
エネルギー使用効率が良くなり長距離走に向くという。
つまり幻想郷の走りはあくまで実効性重視なのだ。
走り方で面白いのは冴月とブレザー兎である。 実は二人の動きはとても酷似している。
いや出自が同じかも知れない。 やはり下半身だけ動いて上半身のぶれが殆ど無いのである。
絵的におもしろみに欠けるが二人の意見が移動しながらの狙撃対応と言うのが興味深い。
逆に手を振って動作しているときはハンディキャップが働いているときと理解するべきだろう。
二人ともやっぱり軍隊出である。
外の世界から来た人と幻想郷から来た人を簡単に見分けるのなら走らせてみるのが有効のようだ。
外来人はすぐに手を振る癖がついている。
例外もいるようで自称現人神は西洋式と和式すなわち幻想郷の走りを巧みに使い分けることができるようだ。
幼少からの教育がものを言っているのかも知れない。
ヴァンパイアの姉妹は元々洋風の走り方から幻想郷の走り方へとシフトした特殊なケースである。
メイド長の話ではやはり持久力を重視した結果その方がいいという結論に達したという。
ちなみにメイド長の動きも投げナイフの精度重視のため上半身が殆ど動かない。
面白いので観察するといいかもしれない。
私の場合は単に脂肪を燃焼するための走りなので効率を重視されても困る。
ふとあたりを見回すと、西洋式の走りをしている人を見つけた。 永遠亭のニート姫とメトセラ娘だった。
二人とも意外と運動不足だからと言うのは薬屋。
詐欺師兎に脂肪を摘まれ必死扱いて走り出したのはもう笑うしかなかった。