信じるか信じないかは別にするとしよう。
唐突であるがハリウッドの映画というのは国策を大きく反映した特別な映画が存在する。
例えば戦時下では戦意を高揚させる愛国心をテーマにした映画が、兵士のPTSD問題を取り上げた映画もあった。
そんなとき、この星に隕石が衝突するのを防ぐ男たちの映画があった。
隕石を爆弾で破壊するという荒唐無稽な映画だった覚えがある。
そんな映画のいくつかが幻想郷で実際に起こったことがモデルであること知るものは殆どいない。
話をしたのはうちの会社に以前在籍していた甘粕氏だった。
彼は定年まで八雲商事に在籍し、現在ではビアガーデンを経営している。
冴月の話ではスペルカードを使用することができ、妖怪とも渡り合うことが出来る技能があるという話だ。
私とは大違いである。
そんな彼が唐突に紅魔館の話をした。 スカーレットの姉妹は元気かと尋ねたからだ。
私の記憶ではヴァンパイアの姉妹が幻想郷にやってきたのは甘粕氏が八雲商事を辞めた後の話だったはずだ。
何故知っているかと尋ねてしまった。 余計なことを言ってしまったのかとも思ったが、
実は紅魔館の引っ越しは数十年前からプロジェクトとして上がっていた物だったらしい。
紅魔館のメンツはある意図を持って集められている。
運命を操り、物体を破壊し、時間を操り、知識を司り、気功を操る。 これらはある一つの目的の為に集められた。
彼女たち5人は巨大隕石を破壊するために集められたと言うのである。
お膳立てをしたのはやんごとなき人々。 おそらくは八雲商事のスポンサーたちであろう。
破壊のためのトータルプランを策定する知識、成功率を高めるために能力補正を仕掛ける気功
隕石の軌道を引き寄せる運命操作 隕石落下までの時間を稼ぐ時間制御 そして隕石を破壊する能力
まさに隕石を破壊するために必要な能力が揃っているのである。
本来巨大隕石は木星または土星に落ちるようになっている。 この巨大惑星の引力がこの星を隕石の脅威から
守り続けていた。 しかしそれでも取りこぼしはある。 一部は月に衝突する。
ただし引力からすれば楯としては心許ない。
月人の科学力で破壊すればいいのではないかという意見もある。 薬屋の存在が知られていない当時としては
月人は地上を見捨てる可能性が高かかった。
実際は、巨大隕石が地上に落下した場合、星の表面温度は太陽表面に匹敵する温度まで急上昇するため
月人だが黙っているわけがなかったが、それが分かったのはずっと後の話だ。
そんな冗談のような話が実際にあったとは思えなかったが、証拠もあるというので資料を覗いてみると
そこには文々。新聞の名前があった。おいおいと思うが、他にも証拠はあるとのこと。
その証拠に綿月姉妹はロケットに乗った来訪者の命を奪ったり呪いをかけたりしなかったと言うのである。
単に甘あまな性格な為だとも思っていたがどうやらそうではないということだ。
技術部に裏付けをとってみると、確かに幻想郷の遙か上空に巨大隕石が転送されて
それをデスマシン妹君が破壊したという情報は残っていた。
本人はストレスが発散できてたいそう喜んでいたという。
幻想郷の住民は空から弾幕が降ってきたという認識しかなかったようだ。
どこまで本当かはわからないが、幻想郷にやってきた紅魔館に優先的に物資を運んでいた理由は
何となく理解できた気がする。