□月 ●日  No931 買い物に同行


本当に久しぶりだが朝倉を幻想郷行きの列車に乗せる。
香霖堂に捜し物があるからだそうで、すでに相手方にも連絡はしてある。
久しぶりにみる朝倉の姿に香霖も相当びっくりしてはいたが、買い物は割とスムーズに済んだと思う。
買った物は幾つかの骨董品。 どうしても欲しかったのだが顕界では入手できないと判明して
ボスと交渉して持ち出しする権利を得てからのお買い物である。


朝倉相手だと香霖もかなり弱気だ。
博麗の巫女たちと違って金は払ってくれることがはっきりしている分大分マシだと思うのだが
どうしても強気に出ることができないらしい。
あれよあれよという間に相当額値引きされてしまった。 一応利益は確保して貰っているだろうが
ちょっとえげつない。


帰りがけのことである。 朝倉が妖怪に喧嘩を売られた。
以前から聞いていたが名を上げるために朝倉に闘いを仕掛ける者が結構いるらしい。
実際にそういう目に遭ったのは初めてだったが、人質に取られたのはちょっと泣けた。
意外と冷静でいられたのはよかった。何かしら暴れていたらきっと朝倉に迷惑が掛っていただろうからだ。


そこで分かったのは彼女がとんでもなく強いという事実だった。
伊達や酔狂であの姿をしているわけではなかったということだ。


朝倉は状況によって幾つかの妖怪の姿を借りて他人のスペルカードをそのまま実行してみせることができる。
人形遣いのアリスの姿になった朝倉、それはあまりに不格好で笑いを誘う姿でしかなかったが
持っていた本までが人形の姿に変化して私を強引に連れ去った。 あとちょっとで脱臼するところだった。
相手が驚いた顔になるのも無理はない。 


相手の弾幕を避けたときの朝倉の姿は鴉天狗のそれだった。ミニスカート姿が違う意味で眩しい。
霧雨のご息女の姿になった朝倉はただのコスプレにしか見えなかった。 巨大レーザーが相手を追い詰めていたが
それがフェイントでしかないことは私も見て取れた。
敵がカードで反撃したときには朝倉はメイド長の姿になっていた。 魂魄に連れられてネタのつもりで行った
メイド喫茶の店員のような外見だった。 本当に時間が止まっていたようで、瞬間移動で相手の弾幕をよけてしまう。


そして朝倉の十八番である地雷撒き、普段の姿でスペルカードルールの中では殆ど禁じ手に近い空中機雷をばらまくと
朝倉はノーレッジ女史の姿へと変えた。広範囲に広がる炎の魔法。相手は弾幕をよけるのに精一杯だったかも
知れないが彼女の真の目的は地雷そのものに誘爆させることだった。
爆発の範囲は大きく広がり相手の姿はそのまま消えてしまった。


朝倉が地霊殿の主人の姿になっていたが残念ながら相手はすでに居なかった。
派手にやり過ぎてそのまま冥界送りになっていたのかも知れない。
外見は明らかにやばかった。 地霊殿の主人の外見も個性的だがそのまま等身が増えるともっとやばいことがよくわかった。


真っ先に私の心配をされるかと思いきや私が持っていた荷物の心配をされた。
分かってはいたが少しはこっちの心配をしてほしいものだ。
今の戦い方について尋ねてみたところ、月で出会ったある人物と同じやり方だと言われた。
例の姉妹のことが頭に浮かんだが、妙な沈黙ができたのでこれ以上は聞かないことに決めた。