□月 ●日  No954 お盆の風景


盆明けということで平静さを取り戻した幻想郷。
冥界に戻るはずの幽霊の何人かはなんか変なことをやって地獄送りになった模様。
毎年起こる風物詩みたいなものだ。 顕界に戻ったら色々なことを思い出してしまうのだろう。
せっかく冥界ゆきの切符を手に入れたのにおじゃんにしてしまう奴がいるようだ。


実際問題として顕界に帰る便より冥界に戻る便のほうが乗車率は僅かながら少ない。
お盆で顕界に帰った霊魂が帰らないケースがあるからだ。
そういう連中はどうしているかと言うと、死神のお嬢の話では概ね守護霊になっているケースが
殆どであるという。 こういう霊たちは結構日常生活に作用して、憑いた人を守る為に
作用していると言われている。 
ひやりとしたこととか すんでのところで事故回避できたとしたら彼らの仕事だと思うといいだろう。


しかし死神たちからすれば守護霊ほど迷惑な存在はないという。
なにしろ人を守るためなら何をしたっていいという存在が意外と多いからである。
たとえば車に轢かれそうな人を守る為に車をそらしたら、電柱に衝突してその人が亡くなるケースである。
実はこのせいで冥界行きの切符がなくなるケースが多いのだ。
決して呪い殺すためとかではないことは理解されたい。
そういう幽霊は冥界どころか三途の川を渡ることすらできない。


一方で守護霊を引退する霊たちが列車に乗る場合もある。
この場合、守っている当人に幻滅したケースが多い。
自業自得で身を崩した者に呆れたケースが多い。
よく先祖に感謝しない人はいいことが起らないというがあれは言い得て妙だと思う。


こうした人間模様はいつの世も繰り返されていたことだという。
死神のお嬢に自分の守護霊はどうですかと尋ねたら、涼しい顔でスルーされてしまった。
彼女も守秘義務があるのだろう。
ちがうのもいるけどねという言葉が妙に引っかかるが それについてはあまり語りたくない。