□月 ●日  No955 労働環境in幻想郷


うちの関連会社に労働基準監督署が入ったというので、最近あまり残業できなくなった。
普通の会社の形態を取っている以上、どうしても法規には従わないといけない。
この労働基準監督署は、まるで探偵のようである。
夜になると外で張り込みをしているケースもあって、改善が見られなければ会社を潰すくらいの勢いで
行政処分に打って出る。
そうなると我々の会社の秘密もばれかねないということで、少し自重しようと言うことになった次第。


幻想郷の仕事はどうだろうか?
はっきり言って幻想郷の仕事というのは暢気そのものだ。
大雨だったり台風だったら確実に休みとなるし、就業時間も8時間程度である。
どうみても私の方が仕事の時間が長い。
どうしても妖怪と人間相手にしているからやりとりのために拘束時間が長くなる。
もっとも休み時間も世話話も長いからそれほど苦ではない。


しかしながらいつも仕事ばかりしている奴らもいる。
それが天狗や河童達だ。 彼らは合理的な生産方法を身につけた故に労働環境がかなり悪い。
天狗たちは殆ど年中無休状態で記事を探し続けるし、その気になれば24時間体制で張り込みもする。
情報を得ようとするときは、それこそ数十時間にわたり休みなしで仕事する。
河童達も工場次第では労働条件が厳しくなる。 もっとも最近は外の世界のシステムを採用して
環境も改善されているようだ。


だがもっと悲惨なところがある。それはやはり冥界だ。
閻魔様は一日最大14時間くらい仕事をする。 だいたいこの時期あたりが仕事のピークとなる。
しかも彼らは生きているわけでも死んでいるわけでもないので、労働基準監督署なんてない
過労死がないのだからあとは効率の問題だけである。
死神がいつも休んでいるように見えるのも実はいざとなったらずっと休めないからだと聞いたことがある。


会社に帰ったら電気を消すように言われた。 外で張り込んでいる労基の連中がいるようだ。
面倒なので今日は会社に泊まる。 水回りもあるしシャワーもあるし別に問題ないだろう。
明日食べるための食券だけ確保したら寝る。