□月 ●日  No959 幻想郷の玩具


うちの会社に玩具会社から売り込みが来る。
うちの会社を単なる輸出入代理店だと思っての行動だろう。
門前払いしても良いのだが怪しまれるといけないので対応する。
なかなか面白く素晴らしい商品だと思うも丁重にお断りした。


幻想郷でほぼ9割自給できるものとして玩具がある。
ほぼ完全に手作りでとても味がある。
外の世界から流れ着いた玩具もあるにはあるのだが、大半は使い方が判らなかったり
機構がわからないため使っていて怪我も多く、多くの場合は玩具としてではなく飾り物として造形を
楽しむケースが多い。


我々も玩具を作っている職人に材料を届けることがある。
幻想郷の玩具は独自に進化を遂げており、簡単な魔法を付加したさながらエンチャントアイテムといえる様相を呈している。
例えば、一定時間ホバリングできる竹とんぼや数々のトリックに対応したお手玉と言った按配だ。
漫画のキャラが絡んだグッズはまずないと言って良い。


河童が作る機械仕掛けの玩具もある。
魔法はここでは部品の補強に用いられる。所謂唐栗玩具というやつだ。
機構が複雑なのと、アホみたいに高価なため持っているのは一部高所得者に限られる。
河童に聞いた話だと制作にはいくつかのガイドラインが決められているらしい。
1に自立移動できないこと、そしてなにより怪我をさせないことだそうだ。


このガイドラインが出来たのは、自立行動できる玩具、特に人形を用いた犯罪が多発したからだと
いわれている。 物取りならまだいい方で酷いケースだと殺人まで至る場合もある。
メディスンが人形の権利云々を主張するのはこの辺の事情が大きく関わっていることを知っておくべきだろう。
人形は疑われると真っ先に焼却などの処分の憂き目にあうからだ。
もっともこの場合真犯人は結局人間の場合が殆どである。


面白いのは空を飛ぶ玩具にいろいろ制限があることだと思う。
前述した竹とんぼも高度が一定以上上がらない仕組みだ。
凧やカイトの類も原則禁止である。 空を飛んでる妖怪に激突する危険があるからであるが
ほかにも紐に絡まって大けがする妖怪も後を絶たないかららしい。


のこり1割はなんだって?
それはもちろん大人の・・・ ゲフンゲフン。