□月 ●日  No1031 興味があることを隠してはいけない


幻想郷の人妖たちも所詮は女の子。たまにはエロ関係の品々を運ぶこともある。
それは白玉楼での出来事。 てっきり魂魄の部屋にあった春画集は全部焼却されたと思っていたのだが
何枚か発掘してしまった。 何故か絡みの部分ばかりである。
ふと背中に気配を感じて後ろを振り返ると、幸か不幸か白玉楼の主人であった。 お庭番だったら
確実に殺されているであろう。


妖怪とてその手の知識に興味がないわけではない。 例えば妖怪同志の会合を開くと大体3分の一が猥談会と化すと
言われている。 ただし里香女史の情報である。
エロ関連の供給元は主に河童と天狗に集約される。 二種類ともかなり性欲が強いと言われている。
幻想郷の性犯罪はかなり低いと言われている。 理由は簡単。襲ったら逆襲されるからだ色々な意味で。
特に鳥類の類は危険だと言われている。 幻想郷の鳥類は兎も含まれる点注意されたい。


年齢を重ねればある程度達観するのかというとそうでもない。
何時までも精神年齢が上がらず、いつまでも進歩がないのはよくある話だ。
ましてや、恋愛に失敗しても次があるからいいと思っている妖怪も多数と来ている。
概ね捨てられるのが目に見えているので、ふつうに寄り添って暮らすなら人間が一番である。


とりあえず、白玉楼で見つけた春画を元に戻す。
すると白玉楼の主人が変な事を言い出した。 香霖堂でカッコイイ男が載っている本を買ってきて
白玉楼周辺に捨てて欲しいというのである。
不可解に重いながらも買い物。 香霖にとうとうホモに目覚めたのかと言われつつも無視して
言われたとおり白玉楼周辺に捨てる。お金はとりあえずもらったが、一体どうなるのか。


なぜか座っている私の後ろをお庭番がこそこそと通り過ぎていく。
人目をはばかるように何かを隠すように持って行く様は悪戯を隠す子供のようで微笑ましい限りだ。
多分拾って自分の部屋に持って行ったのだろう。
なんともはやである。 その様子を見た主人はくすくすと笑っていた。
恐ろしい遊びである。


会社に帰って、その話を朝倉にしたら、横で聞いていた北白河が無言で魂魄の机を開け、一冊の本を取り出した。
とりあえず血は争えないのだと思った。 だめだこりゃ。