□月 ●日  No1030 取引先といろいろと


取引先と打ち合わせ。 妖怪たちの無茶な注文に対応するためである。


当たり前のことだが、八雲商事にも商品を売り込むため色々な会社が出入りしている。
幻想郷のことを分かっている人もいればよく分かってない人がいて、それは致し方ないことなのだが
さすがに幻想郷で扱えないだろうと言えるものも結構売り込んでくる。
こちらとしては話半分で研修を受けて売れなかったことにしている。


彼らはうちの会社に出入りしている人が妖怪だと思っていない。
何も知らずに世話話をしている人を見かけると時折ぞっとする時がある。
もっとも妖怪たちはそうした人々を多く接しているのでそれほど心配しなくてよいのではあるが。


いつも出入りしている取引先は幻想郷のことを薄々感づいているようだ。
個人的にもその方がとても助かる。
こういう客に出すのですがとある程度ぼかして言うのだが、またいつものですかと言われると何となくほっとする。


飲み会の席で取引先の人を交えると色々カオスになる。
どちらかというと何かに必死な方々が一本釣り狙いでかなり必死なアプローチを試みてくる。
幻想郷の恥なのでどうにか辞めて貰いたいものだと思う。
意外と外の世界にいる妖怪たちも積極的なのには驚くしかない。 
いつまでも若い外見であることをいいことに借金取りの天狗なんかはお持ち帰り狙いで
化粧も濃いと来ている。


結局人気を取るのは、必死さのかけらもない無理矢理付き合わされた閻魔様だ。
身持ちが堅いと思われているらしい。 たしかに彼女の説法を聞かされればそう思うのは仕方ない。
地蔵菩薩だからたしかに堅いと言えば堅い。 どちらかというと物理的にである。
問題は素面でも同じような説法を聞かされることなのだが。 知らぬがホトケであろう。


ついでに言えば、私に携帯電話番号を聞かれてもとても困る。
特に今日打ち合わせした人は、一度妖怪の実態を見せてやりたいと思う。 無理だがなんとか伝えたいものだ。
どちらかというと恐怖体験とセットで。