□月 ●日  No2005 ブラック話


妖怪達を搾取しようとする糞会社っていうのはやっぱりあるもので
何ヶ月か働かせて試用期間が過ぎればやめさせるという困ったところの
話を聞かされるとなんとかならないものかなと思ったりもする。


妖怪達は基本的に戸籍を持たないので、戸籍を買うとかしないと
保険すら利かない。八雲商事は基本的にそういう人たちの駆け込み寺と化してしまう場合があるのだが
残念なことにうちもボランティアではないからできることは限られている。
面倒な場合は幻想郷に行って貰うしかないのだが、そういう妖怪に限って幻想郷の不便な
暮らしは真っ平だと言って取り合わない。だからどうしようもないんだと言うより他はない。


思えば多々良小傘とかは本当に素直だった。
彼女は信じられないほど冷静で、ある程度きちんと状況を分かった上で
幻想郷入りを決意した妖怪である。


もっとも計算高かったのは山彦妖怪だろう。彼女は幻想郷に行ったら宗教関連のところへ行けば
食い扶持は困らないということを知っていた。実は彼女がいた山というのは宗教関連の修行場が
あったところで、それは後に怪しげな新興宗教だったことがわかったが、本人が山彦のために
聞き耳を立てていると、きちんと修行をしている人の影で、教団の運営などという
割りとえぐい話が聞けたのだという。


だから彼女は幻想郷にはいって宗教関係の施設を探すことになったが。
これが甘かった。奇跡が標準で起こる幻想郷で宗教を探すのは色々難しかったのである。
人を従わせるための奇跡がここでは妖怪や魔法の仕業で説明できてしまうのだ。
苦労の末どうにか見つけたのが、あの大師様の居るお寺だったというオチである。
自称現人神のところも見てみたが、怪しい研究をやっていたのでパスしたのだとか。
その思考は全く持って正しい。


顕界に目を移すと、人間達を搾取する妖怪も居る事に気づく。
試用期間だからと言って無給で働かせ、試用期間が過ぎればクビにするところとかがそうだ。
こうしたところはだいたい人間に対して復讐していると称しており、変な支援者がいるもので
なかなか潰れないらしい。多くの場合霊能局のお膝元とかからは離れているのも特徴である。
やりかたがいちいちせこい。


たまに間違って妖怪を雇ってしまって無給で働かせた結果、大変なことになる場合もある。
この場合連中はしっかり壊滅させられて、幻想郷送りとなるわけだが。
温情だって?馬鹿言っちゃいけない。弾幕戦もできない妖怪達がどうなるかは分かるってもんでしょ。