□月 ●日  No1050 羽毛妖怪の憂鬱


糞暑い初夏の幻想郷。 雨続きのためか妖怪たちの動きもかなり鈍い。
弾幕ごっこもかなり制限される。 みんなずぶ濡れになってまで弾幕戦なんてやりたくないのである。
勿論河童は除く。


久しぶりに中間管理職狐と生で会うことになった。
持ってきたのはパウダーである。
実はこの時期、中間管理職狐のもふもふ尾っぽが蒸れて仕方ないのだ。


幻想郷で羽毛を持つ妖怪たちは数多くいるが
蒸れた羽毛をどう乾かすかが毎回大問題となっている。
先日見たのは、焼き鳥用のコンロで羽を乾かす夜雀だった。
あぶりすぎて熱い熱いと騒いでいたのが印象的だった。
高速回転して水をはじき飛ばす鴉天狗なんてのもいる。
その後決まって目を回すのだが。


羽毛妖怪が苦労するのは寝るときである。
蒸れるだけならいい。酷いと布団が黴だらけになる。
その都度、無水アルコールが注文されるので薬屋に大量に在庫を持たせておいた。
これで薬屋も沢山の妖怪と付き合うしか無くなる。


幻想郷で除湿剤と言っても、天然の珪藻土とか、加工された木炭くらいな物で
すぐに効果があるとは思えない。
月人が使ってる除湿マシンは兎たちのためにフル稼働で、結構壊れているという話を聞いた。
月と貿易しだしたとき最初に注文を受けたのは除湿器の部品だったくらいだ。
綿月姉妹を説得するのは骨が折れた。 まさか薬屋の名前を出せば一発だとは
思いも寄らなかったからだ。


久しぶりの快晴になると羽毛妖怪はそとでごろごろしている。
虫干しのためだ。 
但だ道路のど真ん中で寝ている妖怪が多くて困る。
実に迷惑千万な話だと思うのである。