□月 ●日  No1103 KINOKO


香霖堂に商品を納品。 出迎えたのはキノコ型の物体。
まるで英語のようなイントネーションで「キノコ」と呟くこの物体は
どうやら霧雨のご息女が召喚したクリーチャーらしい。


しかも一匹だけではないらしく、キノコだけだと思っていたら、タケノコとか
毒キノコまでいる始末で酷いカオス振りである。
おまけにこのキノコどもは足が付いており、サマーソルトキックで店内を破壊するのだという。
元々ゴミばかり売っているのだし整理がついて便利じゃないかと言ったらドアホと言われた。


とにかくキノコどもは数が増え続けているらしい。
キノコ同志が交配しているわけではなく、単に霧雨のご息女が新しく召喚しては
預けているのだという。


はっきり言うが召喚魔法ほど信用できない魔法はない。
なにせこの魔法の正体は所謂拉致魔法である。 一定の単純な条件に満たしてある場所にいる
物体をただ転送したに過ぎない。
たとえば運良く一般市民Aを召喚できたとして、こいつが世界を救う勇者である確率は
宝くじで一等前後賞合わせて当選する可能性よりも低いのである。
条件付けの精度をあげればそれなりに当る可能性は高まるが、基本的に相手ときちんと契約を
結べば特定の相手を呼び出すことができるのである。


どうやって処理するか考えたが、とりあえず強制送還するよりも、こいつらを一度顕界に連れていき
普通のキノコにするのが間違いないということになった。
ボスの許可を一応貰ってコンテナに詰めると中で暴れまくった。
何となく可哀想な気になったが情が移ったら終わりである。


暫く列車を走らせたが、列車内部のダメージが蓄積してどうしても運べないことがわかった。
あのキノコのキックはかなりの破壊力らしい。
どうしたかって、列車のコースを変えて、白玉楼でパージした。
その後キノコどもを見ることはなくなった。 まあそういうことである。


何処へ行ったのかはノーコメントとさせてもらおう。