□月 ●日  No1104 幻想は何処にある?(基礎編)


幻想郷に家庭用分電盤を大量納入。 幻想郷に必要ないものと思うなかれ。
生活する人の安全確保のために必要なものなら、幻想入りのルールをあっさりと破ることは可能だ。
危険な化学物質が幻想入りしても幻想郷に流れ着かないのはそういう意味がある。
自称現人神が最新型のブレーカーを見て不思議そうにしていた。


このように幻想郷と言えど科学と完全分離しているわけではない。
むしろ幻想を維持するためには顕界の考え方やノウハウが必要となる。
たとえば、スペルカードの実験施設は顕界に集中している。 
朝倉が顕界にいるのは実験施設と通信施設が充実しているからに他ならない。


朝倉に言わせれば、魔術の実験は顕界の方が遙かにやりやすいという。
イメージ化技術も情報を詰め込む技術も遙かに顕界の方がやりやすい。
スペルカードの仮想実行も今はある程度ならコンピューター上でシミュレート可能である。
スペルカード開発の現場は恐ろしく科学的である。


もちろんこの辺の事実を判っていない妖怪や人間は後を絶たない。
自称現人神が外の世界には夢がないと言っていたが、断じて違う。
むしろ夢があるから新技術が日々生み出されているわけで、幻想郷内にある
核融合施設だって、顕界からの人的資源や資金面、物資面のバックアップが
なければ数日も持ちはしない。


岡崎が幻想郷に辿り付き、一度は顕界に戻った後幻想郷に戻らなかった理由もそこにある。
幻想郷では結局研究はあまり進まなかったのである。
そこで彼女はわざわざ、妖怪や人間を呼び寄せてサンプリングする羽目になった。
それでも実験器具などが不足して結局顕界に戻るしかなかったのである。


こうしてみてみると夢は結局顕界の中にあった結論づけされるを得ない。
幻想の世界はなんだかんだで外の世界に常に依存し続けているのである。
では幻想郷とは一体どういうことなのだろう。
疑問はつきないのである。