□月 ●日  No1136 中秋の名月と里芋


中秋の名月終わり。大過なく終わってとりあえずなによりである。
魂魄がここ数年で白玉楼にコストが掛かりすぎているというので
一緒に調べてみたら、確かに食費が大きく上がっていることに気づく。
魂魄は中秋の名月に餅を供えているのがおかしいというのだが、
普通は餅だろうと言うと、それは違うと返された。


永遠亭では餅を供えるのが相場と決まってる中秋の名月だが
幻想郷の場合、秋の味覚ならなんでも問題なしというアバウトなルールとなっている。
当然秋姉妹が色々とお供え物を用意しているわけだ。
秋姉妹に言わせればどうせ月の民はお供え物なんてみてはいないのだから自分への
信仰に置き換えてしまえと言う考えのようだ。
かなり酷い話だがこういったことはどこのカミ様も日常茶飯事的に行われている。


では幻想郷ではなにをお供えするのか。
それは丸く切ってゆでた里芋である。
ゆであがった里芋は真っ白でまるで餅に見える。 まさに見立ての世界である。
どうせ白玉楼の主人の胃袋に入るものだから、これくらいがおなかが膨れてよいという。


あまりに気になったので月の都はそのことを知っているのかとかなり婉曲に尋ねたら、
どこも月にお供え物をしているわけではないと身も蓋もない返事をされた。
確かにそうなのだろうがそれはあまりに風情がないと思う。


だが、綿月姉の話に色々はっとした。 どうやら永遠亭が餅を供えているのは
許しを請うよりむしろ当て付けに見えるようなのである。
本来月で行われているはずの餅つきを穢れた地上で行う。
本来芋類を飾るのを餅を供えているのも当て付けに違いないという。
言われてみれば確かにそうかもしれないが、皆そこまで考えていないと言ったら
違いないと言われた。


白玉楼のご主人にその辺の話をしたら。
最初から当てつけのつもりで餅をついていたと言われた。
なにかをお供えする時点ですでに月とのやりとりを意識していたというのは
色々興味深いことである。