□月 ●日  No1186 メトセラ娘の薬


上白沢の塾でメトセラ娘が何かを飲んでいる。
一体何を飲んでると訪ねたら「水銀」と答えられて全力で止めに入る。
冷静に考えれば水銀を飲んでもメトセラ娘がなにか起こるわけがないだろうが
酷い食あたりで大変な目に遭うに違いないだろう。


メトセラ娘に言わせれば、水銀は少量服用すれば長寿の薬なのだという。
すでに無限に近い寿命を持つメトセラ娘が長寿の薬とはなんとも皮肉に聞こえる。
上白沢に話だと一応歴史上の偉人も少量の水銀を服用しているらしい。
間違ったことは言ってないのだろうが半信半疑である。


飲むかと言われたが丁重にお断りした。
いちど薬屋から蓬莱の薬量産版とかいう薬品を勧められたことがあったが
断ったことがある。 そうまでして寿命を増やしたいとは思わないし
第一、好きな人ができて自分だけ寿命が延びたら、添い遂げられなくなる。
こんな欠陥品なんか飲めるわけがない。


帰社して里香女史と水銀の話をしたら、水銀なんて飲んだら死んでしまうと言われた。
そもそも水銀の意味が幻想郷と顕界で違うらしい。 
顕界で知られる水銀は、一種のトラップだそうで長寿に魅せられた愚か者を抹殺する
代物だという。 
本当の長寿を得たいなら、大師様や朝倉の師事で人間をやめるのが近道だそうだ。


あまりに質の悪い悪戯なのでメトセラ娘に注意したら、私は引っかからないと
思ってやったと言われた。 なんともやれやれである。
床で突っ伏している三月精の姿を見かけたが、助けなくてもいずれ復活すると
言われたので手を出すのをやめた。


上白沢が、三月精メトセラ娘の水銀を盗んだからと言うので概ね納得した。