□月 ●日  No1208 床材ビジネス


最近、幻想郷内建造物用の床材の輸送が増えている。
床が腐朽しているせいということで、ちょっとした特需を生んでいる。
床材輸送に当たってはコスト削減の関係上、今まで使用していた無垢材を使用しないで
合板床材解禁に大きく舵を切っている。 隙間妖怪を説得するのは色々面倒だったようだ。


床の腐朽の原因。それは妖精や新参者の妖怪が家の中に土足で上がり込むからだ。
元々空を飛んでいる妖怪は冷えを防ぐために靴を履いていることは以前説明したが
家に上がり込む際に靴を脱がない妖怪が急増したためだと考えられる。
紅魔館がやってきた時期と符合することから、おそらく土足文化が入ってきて
建造物も土足で入っていいと考えた妖怪や妖精が土足で家に入ってしまうからというのが
技術部の意見である。


我が社が大慌てで床材を運んでいるのには理由がある。
実は法令改正で幻想入りした床材があるからだ。 
所謂、表面塗料に溶剤を使用している床材のことである。 シックハウス症候群の原因と
言われている床材が放棄される際に幻想郷に流れていることが発覚したのだ。


通常幻想郷に物資を運ぶ列車の帰りはほとんど荷物がないのだが、今回ばかりはそうは
いかない。 一度顕界に物資を運んだ後に、表面を研磨して再塗装して送るという面倒な
ことをしている。 新品を買うよりそっちのほうがコストが気持ち削減できるらしい。


さて、幻想入りの現場である無縁塚はさながらゴールドラッシュ状態だ。
規制のせいで幻想入りした物資を売るために妖怪やら人間やらが集まっており
本来危険であるはずの無縁塚は人間の里並に安全な場所へと変わりつつある。
無縁塚の原住民が追い出そうと色々な攻撃を加えるのだが、強力な妖怪が
スペルカードを駆使して力尽くで制圧している場面をあちこちで見かける。


博麗大結界が不安定であるため近寄らないようにと注意を喚起しているが
堤防に入り込むノーマナー釣り人の如き有様だ。
先日見たら夜雀の屋台ができていて唖然とした。
この混乱は数年後には解消することがわかっているのだが、無縁塚の住民は
いい迷惑だろうなあと思う。


年末で忙しいが、床材ビジネスは意外と美味しいそうなので
しばらくは荒稼ぎしたいところである。