□月 ●日  No1272 幻想郷にまつわる政治と金


河童の詰め所に遊びに行っていたら、河童から顕界の大物政治家が逮捕されたという
ニュースを聞かされて驚く。 顕界の情勢も入ってくるのかと尋ねると、技術を得る
プロセスで当然そう言ったニュースも流れてくるという。


とある大物政治家が逮捕されたというニュースもその中の一つだという。
収賄だか脱税だかは知らないが、一つ言えるのは彼が幻想郷に影響を与えようとした
政治家の後継者であり、土建業利権をそのまま引き継いだ人物だということらしい。


妖怪が住まう土地幻想郷。物資を運ぶというこの業界にも利権構造が見え隠れする。
その中で、政府が直接資金的に幻想郷に影響を与えようとする動きがあったという。
それは「列島改造論」と言われ、地方に様々なインフラを用意することで
富の平準化とインフラがもたらす多数の雇用と利権を確保するという大プロジェクトであった。


この「列島改造論」にはもう一つの側面がある。
それは幻想郷もこの列島改造の標的になったと言うことだ。
社会的インフラが殆ど整理されていない幻想郷は開発しがいのある土地でもあった。
また、当時から妖怪達の資本と密接に繋がっていた幻想郷に資金的な利権構造を作ることは
妖怪資本からの政治資金を得るためにも有効なものと考えられたのである。


結果どうなったか。
「列島改造論」をぶち上げた人物は結局スキャンダルによって逮捕されてしまった。
米帝の逆鱗に触れたからというのがもっぱらの噂であったが、妖怪達の金を狙おうとした
ためだということは一部関係者の知るところとなったという。


だがその人物の後継者たちはその後も土建業を中心とした利権をそのまま引き継いで
今に至っていた。
その人物が逮捕されたことは一つの時代の終わりを意味していたと言える。


その話を聞いた河童の一人が、地下工場を造るのに色々利用させて貰っただけに
残念だとぼやいていた。 
「用済みだったけどね。」という言葉にぞっとした。