□月 ●日  No1325 ツキがない


相手に同情したくなるシチュエーションっていうのがあるとしたら
それは今日のような出来事のことかも知れない。


八雲商事の面子が搭乗している飛行機がハイジャックに遭ったらしい。
しかし、この飛行機の乗っている連中はもし仮に飛行機を爆破されても
おおよそ生き残れる連中ばかりだった。


後で聞いた話だが、実際ほどなくして八雲商事の面子一人から連絡が入ったそうだ。
自力で制圧して良いですか?という内容だったらしい。
酷い話だ。
テロリストたちもまさか拳銃に準ずる武器を皆が持ってる飛行機の乗っているとは思っても居ないだろう。
頭を下げているその下でカードがそれぞれのクラスにいる敵勢力の索敵を行っているなんて思わない。
相手が何人いるかどこにいるかまで逐一記録されているとは思うまい。
その数分後に始末されるのが自分だとは思っても居ない。


テロリストと言っても彼らは彼らなりに悲痛な決意をもって行動に移していることを勘案しておきたい。
彼らだって本来ならそう言う行為はしたくない筈だとかつて閻魔様は言っていた。
そういう行為を正当化する理由が必ず存在する。
私はテロリストの不運に同情したい。彼らの動機は残念ながら幻想郷で聞くことになる。
そこは妖怪達のテリトリーである。 だから言える。彼らは運がない。


私は無縁塚でその話を聞いた。
今から人がやってくるので周辺住民というより、周辺幽霊たちを黙らせておいてくれと言われた。
最近幽霊たちに顔が通ったせいか、私の言うことには取り敢えず皆従ってくれる。
彼らの暇つぶしを運んでいるのだから当然とも言える。


ほどなくして結構な人数の団体さんが無縁塚にやってきた。
ここは何処だと言われたから死後の世界と応えておいた。
概ね間違ってない。
証拠を見せろと言うから無縁塚住民たちとタネのない手品を見せてあげる。
ジーザスとか色々な声が漏れる。


無縁塚の住人たちと言ってもかれらも多国籍なので連中の話もきちんと翻訳できる。
無縁塚はさながらカウンセリングルームと化した。
何の為だって?
無縁塚の住人となるためだ。
妖怪に喰われるよりはマシだろう。きっと。