□月 ●日  No1342 黄金伝説


幻想郷に金鉱脈がある。
俄に信じがたい噂が幻想郷中を駆け巡っている。
そんなはずはないと言いたいところだが、実は否定しきれなくてとても困っている、
なぜなら、金山の存在こそ我が国における幻想入りしたものに他ならないからである。


この話を上白沢から聞いた。
メリーやレンコたちは、金があればお金持ちになれるのかと目を輝かせながら聞いてくる。
幻想郷の物資は顕界に持ち込めないことを知ると相当がっかりしていた。
もっとも幻想郷でゴールドラッシュが起こったら、米帝で起こったゴールドラッシュ騒ぎと
同じように金の価格が下がり、インフレが進行するだけであっただろう。


あるかどうかは別として、様子見かと思った矢先、メトセラ娘から金を探すツアーと言うことで
火山の噴火口に行った人がいると通報を受ける。
毒ガスでやられる妖怪が続出するのではないかというわけだ。
しかも、止めようとすると「黄金を独り占めにしようとしている」と言われる始末。
怒ったメトセラ娘は、「黄金があったら宿無しになってないし、アルバイトもしなくていいだろ」と
逆ギレしたらしい。


朝倉に本当のところ鉱脈はあるのかと尋ねると、有るとも言えるしないとも言えると言われた。
彼女らしくない玉虫色の回答だ。
火山の噴出口から帰ってきた妖怪達に尋ねると、確かに黄金はあるという。
しかしきらきら光ってないから持って行かなかったと言われた。
それは多分硫黄じゃないかと思う。
誰から言われたのか尋ねたら詐欺師兎と言われた。 聞く人を間違っている。


ナズ軍曹に金鉱脈の話をしてみる。
そんなものがあったら幻想郷は無事では済まない。 確かにその通りな答えが返ってきた。
ではあるかもしれないし ないとも言えるとは何故そうなのだろうか。
その辺も話したら、神綺様ならできるからなと言われた。
これには思わず合点がいった。


結局黄金の話の元を辿ったら多々良小傘にたどり着いた。彼女が話をした黄金週間が
なぜか黄金伝説にすり替わったようだった。
全く迷惑な話である。 ニュアンスは正しく伝えて欲しいものである。