□月 ●日  No1350 幻想郷は幸福なのか


幻想郷に住んでいる人は幸福なのか?
この時期、幻想郷の現実を知った人から結構な割合で聞かれる命題である。
顕界の文明からは隔絶されているし、お世辞にも便利というわけでも
清潔というわけでもない。
私が知る幻想郷は生活水準が数十年ほど遡っているが、幾つかについては
顕界よりも進んだ技術を持つ世界である。


幻想郷で仕事をすれば何故幻想郷には顕界と同じインフラがないのかと
聞きたくなるだろう。
電気はあるが、電球を付けるのが精一杯だとか、妖怪の手を借りて
氷を中に入れないといけないような冷蔵庫とか、洗濯板を使うか
洗濯機があっても手回し式の水切りを使わないといけないとか
色々思うところはあると思う。


当たり前と言えば当たり前のことだが
幻想郷で仕事をして、ここが幻想の世界だって感じることは微塵もない。
一部物理法則がおかしいが、それが現実なのでそもそも幻想という言葉が
色々と怪しい。
だから、つい顕界のルールが幻想郷にも適用できると思ってしまう。
だがそれをすることでそこに住まう妖怪が幸福かどうかは甚だ疑問だ。


私が見る限り、顕界と変わらない程度に幸福であると思う。
比較し、相対評価でしか計れない中、外の世界の指標を用いることが
ナンセンスだ。
生活は苦しいが、それが顕界とどれだけ違うというのだろうか。
インフラ的に恵まれていても幸福感を感じられない生活と、
本当に不便だけどそれが当たり前だから不幸だと感じないことの何処が
違うというのだろう。


私なりに言わせていただければ幻想郷良いとこ一度はおいでなんて
口が裂けても言えないというのが事実なのである。