□月 ●日  No1352 柏餅クライシス


阿礼乙女の邸宅より悲鳴にも似た緊急配送依頼。
注文書を見てみんなで顔を見合わせる。 柏餅に巻く桜の葉っぱがない。
幻想郷で自給できるのではないかと思ったら大間違い。
前年秋に収穫した葉を塩漬けしているのである。
塩が入手しづらい幻想郷ではこれが地味に痛い。


本日5月4日 本番は明日。 しかも午前中注文ならまだなんとかなるのに
今はなんと午後の2時半 色々詰んでる。
2時半ならまだ間に合うと思ったらとんでもない。
発注の期限は午前11時55分と厳密に決められている。
さらに顕界は長期休暇だ。対応してくれる問屋がほとんどない。
阿礼乙女の性格上、ほかのところに葉を回していると思われるのがそもそもの原因だ。


一体どうするか? 皆で頭を悩ませる。
ふと浅間の机にあった柏餅に目が行った。
誰かが言った。 柏餅を買い占めてみんなで柏餅を食べてあまった葉っぱを持っていけば
いいじゃないと言うではないか。
かくして近所のスーパーで買占め作戦が始まった。
自主規制ということで全部買い占めるのではなく、ある程度の個数で止めることになった。
足りない葉の枚数は300枚。 社員皆で食べればたぶん大丈夫である。


個数は集まったが、ここで皆が誤算に気づく。
幻想郷に運ぶためには4時までに葉を洗うところまで持って行かないといけない。
クレームを出したのはGWなのに会社にいないといけない里香女史。
一応食品なので検査させろと言う。 当然である。
そしてうちの会社に残された人数があまり居ないことに気づく。
大半が幻想郷に出払っており、戻ってくるまでと言うには時間がなすぎた。
結局一人いくつも食べる羽目に。
夕食も食べられないほど胃袋に詰め込んでかなり悲惨な状態になった。


最後はほぼ意地で食べていたと思う。
もたれた胃を抱えながら幻想郷に運んだのは夜8時とかだった。
阿礼乙女たちがこんな時間でも待ってくれたのに恐縮しつつ、
トイレに駆け込む羽目になったのは言うまでもない。