□月 ●日  No1353 正式名称はガスコンベック


紅魔館からガスインフラを持ち込めるか相談を受ける。
時期尚早と思いつつもLPガスなら技術的に可能であることがわかる。
配管関係などいろいろ面倒なのであまりやりたくないのが本音。


どうやらほしいものはオーブンレンジのようである。
温度調整が自動でできるオーブンがあれば料理のバリエーションが一気に広がる。
また、ダッチオーブンでやっていたパン焼きやケーキ焼きが一挙に簡略化される。
計算によればメイド長の拘束時間が一時間強減る計算である。
時間停止しながらケーキを作っていたことを考えれば少しは楽をさせたいと
考えるのがスタッフ一同の総意ではある。


幻想郷に近代インフラを持ち込む場合は設置費用からできる限り
電気を用いた形をとりたいところである。
ところが電気オーブンを利用するには火力が足りない。
火力が足りなければ電圧を上げれば良いのだが
幻想郷の電気環境はお寒い限りで紅魔館に高電圧の電力インフラを運ぶには
変電所をはじめとして莫大な費用がかかる見積もりができている。


そんなわけでここにきてガスの導入がクローズアップされたわけだ。
顕界で電化住宅が広がっている事情もあるのかもしれない。
魔法で代用する方法論も同時に研究されていたが機械的に燃料をオンオフできる
ガスと比較すると制御が難しく、長時間同じ火力を維持するのが困難である。
なによりスペルカードルールによる制約のせいで99秒維持魔法に慣れすぎており
数時間の間温度を維持するのは不可能に近い有様である。


顕界のガス屋にその辺のことを相談したら大いに乗り気でびっくりした。
客が増えるなら幻想郷でもどこでも行ってやると言ってくれたのは大変頼もしい。
ボンベの輸送など問題は山積しているが、とりあえず配管工事のために
数人ガス職人を回してくれると言ってくれた。


彼らに空飛ぶ娘とか、メイドたちとか吸血鬼とかを説明するのは色々面倒だが
利害がとりあえず一致した以上はお言葉に甘えさせてもらおうと思う。
ボスが年齢の高い人が幻想郷に行くことに苦言を呈していたが、一応三日間の研修をすることで
納得してももらった。
われわれが一週間で行うカリキュラムをかいつまんで三日に圧縮するのである。
果たしてうまくいくのか、今後を注視したい。