□月 ●日  No1356 幻想世界の栄養学


幻想郷で働くと嫌が応にも矯正されるものがある。
それが食べ物の好き嫌いである。


幻想郷住人にとって食べ物の好き嫌いというのはあまりないことで知られている。
典型的な外の世界の住人、事象現人神や多々良小傘嬢でさえ、食べ物の好き嫌いが
かなり改善されている。


そもそも、最初に美味しいと感じない食べ物でも好きになってしまうメカニズムがが存在する。 
人間はその食べ物が栄養があると判定された場合、例え苦いものであっても
脳内の情報では美味しいと判定するよう誤魔化すのだという。
その簡単な例はやはりピーマンであろう。ピーマンは本来なら食用に適さない
苦さを持っている。 しかし、栄養価の高さも同時に知られている。
このようなシステムにより人間は実に様々なものが食べられる。


妖怪が人の姿をしている理由も実はそのせいだという話しもある。
妖怪にとって本当の食物は謂われだったり、人の心だったり色々であるが
人間の姿をすることで少なくても人間の食べ物で自分を維持することが
できるのである。
無論、どうしても必須栄養が不足するので、最終的にはじり貧となるのだが
それでも当座のエネルギーは確保できるのである。


岡崎や北白河、メリーやレンコたちもまた食べ物の好き嫌いが大いに改善された。
オーガニックな食べ物が美味いという事情もあるのだが、幻想入りした品種改良前の
作物はあまり甘くないものも多い。
それでも、人間は空腹には勝てないのである。


ちなみに私の場合、あまり食べられないイナゴの佃煮などが食べられるようになった。
それだけ色々食べないといけないのであるとも言える。
我々の会社が幻想郷の食料をした支えをしているとはいえ、それには限界はある。
自分たちの食べ物だけ確保というわけもいかないのだ。


というわけで、新入社員の親から偏食が治ったと感謝状が届いてびっくりした私だが
幻想郷に関わればそうなるということを考えれば当然の結果だと思う。
このように人間の能力に関する再発見があるのは一つの成果だと思うのだ。