□月 ●日  No1358 本当は怖い場所


幻想郷内部で行き倒れが出たというので救出することになったのだが
その場所が危険区域のため対応が若干だが遅れる。
一見すると何の変哲のない場所。 だがそれは妖怪さえ近寄らない要注意地域だった。


幻想郷には我々でさえでも近寄ってはいけないパワースポットと呼ばれる地域がある。
顕界ではしばしば力を得ることができる場所として混同されて用いられている。
地脈的理由だったり魔力的な理由だったり、または有毒ガスが絡んでいたりと理由は様々だ。
こういう場所には色々謂われがついており、それを有り難がっている人もいる。


ここで注意しないとならないのはパワースポットが本当に力を得ることが出来る場所なのか
ということにつきる。 
顕界にも多くのパワースポットがあるが、そもそもパワースポットの効果は個人差がある。
酷いケースだとパワースポットに入ることで気力を奪われるケースがあるのである。


さて、こうした場合の救出方法だが基本的に遠隔操作関連の魔術を駆使することになる。
人形遣いのアリスを呼び、人形に救出させるのが定石だ。
今回のもマニュアルに基づき彼女を呼び出すことになる。 そのためやや時間がかかる。


他にもコストパフォーマンスが悪いが「トラクタ」という魔法もある。
相手を無理矢理引っ張り込む魔法で、鬼がものを萃めるのに行使すする理力を
エミュレートしたものと言われる。
無理矢理能力を再現する性格上コストパフォーマンスは酷く実用的ではない。


問題はアリスが駆けつけるまでの時間で手遅れにならないかと言うことだ。
あまり指摘したくないが彼女が飛行速度はあまり速いとは言えない。
人を運ぶための人形を輸送しているためだから仕方ない。
実際こういう案件は手遅れになる場合も多い。


倒れた人を遠巻きに見ながら呼びかけたりとするなどの試みは成されている。
そろそろ行き倒れた人を狙った鴉などが近寄ってきているので
早く何とかしないといけないと思っていた矢先だった。
大師様が身を顧みずパワースポットに突入。速やかに人を回収して戻ってきたのだった。
これには口をあんぐり開けるしかなかった。


何故助けないんだと叱られたが、何故助けられたのかと尋ねたら、
ここはそこまで危なくないと言われた。
このパワースポットが人や妖怪の気力を削いで動けなくすることは有名にもかかわらずである。
傍らにいたムラサ船長がぽんと手を叩いた。


なんてことはない。
大師様はずっとパワースポットにいたから別に何とも感じなかったのである。
むしろそこが当たり前だったのである。


アリスが到着。この展開には二人で口をあんぐり開けるしかなかった。
ちなみに救出された人は一応病院に担ぎ込まれてこの人は一命を取り留めたという話だ。
このパワースポットは後日発破されて謂われが上書きされる予定である。