□月 ●日  No1375 傍から見たらただのゴミ


寅さんのお寺にて北白河より応援依頼が来たので早速向かうことにする。
お寺に到着した私を出迎えた物は大量のゴミであった。
ゴミとしか形容できない何かというより他はなかった。


寅さんの能力は、財宝を集める能力である。
本来ならそんな能力があれば、お金に困らないし、寺だって荒れることはない。
何だかんだ言ってもお金が重要だからだ。
だがここで注意したいのは「財宝」であって「現金」ではないということである。


財宝の価値はとても主観的なものだ。
偽物か本物かはあまり重要ではない。かつての持ち主が本物だと思っている物なら
それはやはり財宝という扱いになる。
だからそれらを現金化するのは寅さんにとってかなりのリスクだ。
謂われがあるものだと主張すると、却って信頼性を失うのである。


そこで、集まった財宝を梱包材でくるみ、リアカーに積み込む作業が必要となる。
それらを古物商の元へ持って行き、鑑定して貰う。
本物かどうかを判定するのも人間なので多少の間違いやロスは致し方ない。


一応、鑑定用の魔法もあるらしいのだが、その魔法の正体が殆ど顕界における
分析装置の類と全く同じ構造をしているのがとても興味深い。
魔法だと、一応全ての検査を一から行うので、一個頭結果が出るのは数分かかる。
しかし相手は山積みのゴミだ。 財宝も集まっているのだろうが
そんなことをしたら日が暮れる。
でもやるしかない。


そんなわけで泥沼の作業開始。
商品をくるんで帳簿に打ち込む 最初の一時間は集中力を保っていられるが
途中から酷くだれてくる。
一山減ったかなと思うと寅さんの能力が発動してまた振り出しに戻るのもしばしば。
大迷惑である。


昔は集まった財宝を寅さん自身が仕分けしていたそうだが
大師様の復活により彼女も少々忙しくなったようだ。


それにしても磁器の類とかならいざ知らず石ころなど誰が見てもゴミとしか言えないものとかも
財宝として集まってくるが本当にこれで収拾つくのだろうか。
応援が次から次へとやってくる中そんなことを考えた。
寅さん自重しろと言うより他はない。