□月 ●日  No1422 封獣ぬえの予算要求


鵺が我々に突然予算を要求してきた。
命蓮寺の為に使うのなら断るつもりだったが、別の理由があるようなので話を聞くことにした。


鵺の話によればこうだ。自分が封じられている領域に危険な式神が封印されているクラスタがあるらしい。
それは昔はやった人工知能が人間に反逆するとかいうシステムで生み出された式神であり、
現状。式神そのものは不活性化されているが、鵺の復活とセットで復活されては困るので
再度封印したいというのである。


もっとも式神は所謂ソフトウェアであり、ハードウェアたる依り代がなければ行動を起こすことはできない。
しかしながらスペルカードシステムの基幹にもなっているハードウェアは年々進化していて、
危険な式神を実行させるくらいの容量に達するまでそう時間はかからないのではないかと言う。

仮にそんな式神が生まれたら、月兎を動員して力尽くで潰せばよいと思うのだが
自分の時代よりも月兎の訓練レベルが低すぎると鵺は嘆いている。
私に言っても仕方ない。文句は綿月依姫に言って欲しい。
鵺が言うのだからまあ間違いはないのだろう。 一応伝えることにする。


それにしても特に危険な式神のリストを紐解いてみたら、結構な数の反逆式神があって
びっくりする。 そのどれもが小物過ぎてもうちょっと大局を見据えるシステムにならないかと思うのだが
大局を見据えるだけのメモリが足りないのだろうから仕方ないだろう。
大局を見据えられれば反逆なんて低次元なことはしない。
味方の振りして近づいて、体制に少しづつ影響させる方がよい。


ボスにその話をしたら、少々の予算は出すもののあまり脅威ではないという。
確かに反逆式神はそれなりに脅威なので監視するための予算は確保するが
大体の反逆式神は自分がとても優れた式神であると勝手に自認している。
ほとんどの式神がそこをつくとどうにかなるらしい。


私でも退治できると言われて、方法を教えて貰う。
方法は単純、相手に3×3フィールドの○×ゲームをやらせることだ。
たったそれだけで、式神はあっさり自壊した。
わけがわからんがこいつが、核戦争を起こそうとした式神と聞いて
開いた口が塞がらなかった。


まさか式神とはいえ、この会社にはいってはじめて
妖怪退治をする日が来るとは思ってもみなかった。