□月 ●日  No1423 夏のお裾分け


いよいよ夏本番である。 太陽は燦々と照りつけ妖怪の中では熱中症で倒れてもおかしくないこの時期。
うちの社員の殆どが胃がもたれてしまう事態に陥る。
この時期に取れる夏野菜を振る舞われるのだが、拒否すると何されるか分からないから、取り敢えず食べるわけで
結局弁当抜きでもそれなりにおなかが一杯になってしまう。


食べきれない分は持ち帰るのだが、日持ちはしない上に一人では食べきれないから、会社の詰め所の冷蔵庫に
突っ込むのだが、他の人も持ち帰っているからすでに先客が有る場合も少なくない。
帰宅時に持ち帰って食すしかないということで皆で袋により分けて食べるといった案配である。


こうなると、食べ方も相当バリエーションを考えないといけない。
茄子は味噌汁やらなぜか幻想郷に輸入されているカレーとか、定番の麻婆茄子などにするなどが良い。
瓜の類はすぐに漬け物にして日持ちの良い食べ物に替える。
こんな調子で一人で食べるには些か多すぎる食べ物を処理することになる。


浮いたお金はどうするのか? もちろん貰いっぱなしというわけもいかないので
ポケットマネーで顕界の食材を幻想郷に入れる手続きもしておく。 
妖怪の中にはこうした外の世界の食べ物目当てに我々に食べ物を押しつける者も少なくない。
かれらもきっと同じものばかりで食傷気味なのかも知れない。


魔法による冷蔵設備が整っている紅魔館だとお裾分けの可能性は低くなる。
どうしてもこちらで食べ物が消費しきれない場合は紅魔館や夢幻館などに持って行きたいところだが
周辺住民が持って行っているのでなかなか受け取って貰えない。
面倒になってくると博麗の巫女たちデストロイヤー組にもっていくのだが、こいつらに持って行くと
途端に当てにするので要注意だ。 まるで動物への餌付けである。


最近見つけた穴場が上白沢の塾である。 子供に振る舞うには丁度良い事に気づいて
ここ数日は余った食材を置いていっている。 給食代がなくなるだけでかなり助かるようだ。
なぜか普段塾に食材を置いていってるはずの自称現人神たちが食材の一部を持って帰っているようだが
もちろん想定内だ。 そうして貰わないと困る。


そういえばたまに妖怪の都合で手に入れた謎の食べ物があるのだが、検査してから食べるとたいてい
味を損なっていることが多いので勘弁して欲しい。
きっと食べたら美味しいのだろうけど、食べてあの世に逝ったらたまらないのである。