夢幻館における除虫菊関連商品の商品出荷がピーク。
夢幻館最大級の資金源であり、妖怪達も愛用する除虫菊関係商品は夏の風物詩でもある。
うちの会社の流通にフリーライドするのは些か気に入らないが、効果覿面だから誰も文句は言わない。
皆は、風見女史の加護を受けているのだから虫が寄ってこないと信じている。
きっと普段から虫妖怪は風見女史からどつかれていると思われているようだ。
それに一定の説得力があるのはなんともコメントしがたい話である。
妖怪達も対処に困るヤブ蚊だがこっちとしては色々な問題も引き起こすので
なんとも頭が痛い問題でもある。
特に博麗の巫女たちが警戒しないとならないのがマラリアと呼ばれる病気である。
蚊によって媒介されるマラリア原虫によって引き起こされる病気であり、
高熱を発し、酷い場合は脳症などを引き起こす。 最悪死に至る。
マラリアは現代では熱帯地方の病気であるが、幻想郷にはなぜかマラリアが存在する。
朝倉の話によれば何かの拍子で幻想入りしたという。
自称現人神の幻想入りに際しては、薬屋の協力の下、抗マラリア薬の事前投与も行われている。
マラリアの他に危険な存在が、フィラリアだろう。
顕界では殆ど知られていないが人間にも感染する意味では洒落にならない存在である。
犬に感染することで知られているのでペット好きにはポピュラーな病気だ。
こちらも寄生虫が血管内を移動して詰まらせる事で知られる。
白狼天狗はフィラリア対策のために予防薬を定期的に服用することが求められている。
だが、これら寄生虫系病気を防ぐ最大の手立てはなんといっても、蚊の予防に限る。
そこで風見女史の出番というわけだ。 風見女史が販売する期間限定の御守を持てば
蚊が寄ってこないというわけだ。
もちろんぐるぐる巻きの蚊取り線香なども併用することになるのだが、やっていることは
概ね同じ事である。
こうした寄生虫による病気はヤマメ女史も頭を悩ませる問題だ。
彼女がどうにかできるのはウイルス系感染症であり、寄生虫をどうにかするには、手続きが必要らしい。
従ってこれら病気への対処は現状我々が担っている部分であり、とても始末が悪い存在となっている、
全くもって困った話である。