□月 ●日  No1447 ふたりに魔法をおしえる朝倉さんの手記


霧雨魔理沙アリス・マーガトロイド 
二人の熱意に押されて、ついつい魔法を教えることにうんと言ってしまった。
ボスが有給扱いじゃなくて社用外出扱いにしてくれたのには本当感謝。


一応魔法は捨てたってことにしているのだけど、結局二人を誤魔化すことはできなかったみたい。
本当なら魔法は教えるのも大切だけど制御のために体得して貰わないと意味がない。
二人とも基礎的な部分はクリアーしているのだからあとは実践で勉強してほしいと思う。
それでも今回、魔法を教える気になったのは新機能が追加されても彼女たちのレベルで利用できるかどうかを
見定めた方がいいという考えに至ったからで、普段だったら教えてくれと土下座されても教えない。


当日。 
約束の時間に霧雨魔理沙が到着しない。
照明弾などを使って合図を送るがレスポンスなし。
自宅に向かい本人を呼び出すが反応なし。
アリスに頼んで人形を煙突から侵入させると、そこには倒れた魔理沙がいた。
二人で取り乱してつい、扉を爆破してしまいました。
あとでどう謝ろう。


中に入ると二人ですぐに落ち着いた。 
魔法使いというのは、状況が進行するとすぐに冷静になる。
魔法の制御でもそうだけど、危険な状況に立てば立つほど
冷静でいる必要があるの。 その意味でアリスは合格。


息があるのを確認、高熱を発しているので手近な場所で眠らせる。
常備薬を飲ませようとするのを制して、症状を確認。
原因を探るために周辺を人形で調べさせる。
アリスは風邪じゃないのかと言っているが、そうとは限らない。
そして私の言うことが正しいことが証明されるように
床に吐瀉物を見つけた。


床に吐瀉物があるので片付けつつ
吐瀉物を解析すればすぐに原因は分かるだろうけど今はそんなことをしていられない。
急性胃腸炎の可能性が高いか。
アリスが水を与えようとするのを止める。
水が原因の可能性があるので、とにかく煮沸させてから与えるように指示する。
どうしてなのか? と尋ねてきたから「これが私が教える魔術だ」と答えた。


急場は凌いで、意識を取り戻した魔理沙にチーフに届けさせた栄養剤を投与。
恐らく食あたりの酷いものと言いたいけど、里香女史に頼んで防疫処理を
依頼しておいた。
二人は驚いた顔で感心していたしていたけど、それこそが私が教えてようと
していることだ。 


素人は科学と魔術をすぐに対立軸にしてしまう。
だけど本来本質的には科学も魔法もアプローチ方法が違うだけで
プロセスは殆ど同じだ。 つまり効率の良い方法をとりながら行動すれば
魔法の研究はもっと上手くいくわけ。
とんだスタートになったけど、そこから先はやりやすかった。
論より証拠と言うしね。


爆破した扉はしっかり会社に請求書がまわっていた。
ちくしょう。