□月 ●日  No1446 これも仕事なんだ


ボスの机の上にさまざまな分野の雑誌が積まれている。
幻想郷住まいだった彼女にとって、この世界は雑多な情報に包まれている。
同じ情報が滞留していた幻想郷と違ってここでは情報があっという間に消費されると
言っていた。 私はこの世界に慣れているが、彼女はこの世界になれるのは
私が幻想郷に慣れるよりも困難なのかもしれない。


同じ幻想郷出身者である魂魄や朝倉と比較すると、文化的ギャップに
相当苦しんでいるのは傍から見てすぐにわかる。
必要ではない情報がたくさんある一方で情報収集を怠ると、思わぬニュースが
今後起こるシナリオの伏線となっていることも多い。


彼女がホームパーティを頻繁に開くのもすべては情報収集のためといえる。
今日もホームパーティの席で文化人を呼ぶと言う事らしい。
文化人といってもいろいろな人種がいる。 それをいちいち挙げていたら
きりがないと言ってよい。


文化人のリストを見て朝倉と一緒にコメントに困る。
いわゆるサブカル関連の人々なのだが、どちらかというと朝倉のほうが専門ではないかという
ような面子が揃っている。 いや、朝倉に失礼かもしれない。
それくらい濃い面子が集まっている。 大丈夫なのだろうかと思う。


しかしこれらカルチャーは年数が経てば幻想郷に行ってもおかしくないものだ。
それらが幻想郷にとってどのような影響を与えるか見極めないといけない。
だから、こちら側の面子は錚々たる人材で固めている。 相手は場違いだと思うほどだ。
これもリスクヘッジのためだ。


そのためかボスも必死にこのカルチャーの予習をしているのだが、
途中で頭が痛くなっているのだろう。アスピリンがテーブルの上に載っている。


ボスが戻ってきて私を呼び出しこう言った。
「男の娘ってどういう意味なんだ?」
私は答えた。
シーメールです。」
「なるほど。」


そういうことだ。
どうなったかは最後まで言う必要はあるまい。