□月 ●日  No1482 袋の大群


香霖堂に商品を送っていると何かと周辺が騒がしい。
香霖に聞いたら食料の採集のため人妖達が行き交っているためだという。
たまに爆音が聞こえなければ概ね平和らしい。


幻想郷はこの時期になると一番食生活が豊かになる。 
色々なものが実り初めて収穫のタイミングとなる。暮らしやすくなったせいか心なしか空の人妖密度が
高いような気がする。その大半が食糧確保のための採集活動である。
と、言ってもおなかいっぱい食べられるってものでもなく、冬に備えてどれだけ食べ物を保管できるのかが
ポイントになる。下差さえしているとは言え我々の輸送量では限界は確かにあるのである。


保存食を作るための作業も急ピッチで行われる。最近は瓶詰めによる保存食も河童達によって
確立しつつあり、使用済みの敏を回収して中に豆などを入れて保管するという作業も行われている。
これは顕界での保存食がフリーズドライや、冷凍保存、空気を抜いた処理など高度化しているのにも起因する。


自称現人神の家では冷凍庫専用機が新たに入っている。 先日納入したのだが、それが全てを物語っているとも言える。
可能な限り食料を冷凍保存する。御飯も大量に炊いて冷凍保存など冬の準備に余念がないようだ。
彼女たちも昨年の冬はどうにか凌いだものの食べ物には随分苦労したと言っていた。
冬になると食料の価格が大きく上がるからでもある。 幻想郷はあくまで自然環境に即した物価を示すからだ。


それでも飢え死にされては困るので最低限の食料は運ぶようにはしているのだが
幻想郷内で経済を回さないといけないため、依存しない程度に物品を送るというのが実はとても難しい。
だから食料を送る際は概ね飲み会の時の食料などある程度シチュエーションを限定するなどする必要がある。
もちろん生活必需品たる塩などの品は安定供給される必要がある。
ここが難しい部分だったりする。


夕方になると、袋をもって移動する妖怪達が行き交ってまるでサンタの大群が移動しているように錯覚する。
残暑は厳しいが幻想郷は今日も忙しいということを理解して貰いたいところだ。