□月 ●日  No1493 部品取り寄せ


香霖がまた変な注文をしてきて頭を抱える。
今回は電池なのだが電池をくれと言われても何処で何を使う電池なのかさっぱり分からない。
それもそのはず香霖は商品の名前と効果しか分からないのだ。
しかも名前といっても型番という概念を完全に把握していないのでこうした部品取り寄せの場合は
とても厳しいことになる。


彼が電池にも沢山の種類があるという事実を知らないのだから当然の成り行きなのだが
部品については基本的に元品番をよこせと言わないと色々と問題になる。
品番の意味を説明するのは下手すれば数十分要することもしばしばだ。


部品入手というのは色々面倒である。工業製品の場合はどこのメーカーの何が使われているか
分からないと手が出せないのだ。 
幻想郷に入った商品の場合その部品の殆どが失われているため、外の世界から同じ商品を
古道具屋から入手して部品分解したものを持って行くなんてケースもある。
もちろんすぐに限界は来るので、駄目なものは駄目だと即答する必要もある。


電池については単純な乾電池からボタン電池もあるが今回指定されたのは四角の平べったい電池である。
最初何のことかわからなかったが、岡崎が携帯電話の電池だと指摘したことで謎が解けた。
ネット転載天狗が使っている携帯電話である。


全妖怪の中ではトップクラスに連絡が通じやすいので早速アポイントメントをとって
機械を確認すると結構年季が入った携帯電話を見せられた。 部品があるかどうかかなり怪しい。
電話機を借りてデータをバックアップしてから電池を探す手続きを取る。
結局メーカーからは見つからずリサイクル電池でカバーすることになった。


ここでポイントとなるのは商売の義理上、直接取引の契約をしていない限り
指定店舗で購入するように言うことである。
今回は香霖堂が間に立つのでそこを説明するしかない。 面倒なんだがこれが決まりである。
部品がもうないというと不満顔になるかと思ったら最新の端末をよこせと言ってきて閉口する。
これだから最新情報が入ってくる携帯電話ネットは嫌だ。


スマートフォンを要求してきたので待ち受け時間を説明したら電池がもたなすぎて何とかならないかと
言われた。 何とかなったら既にお前のところに納品している。
結局多機能携帯電話の取り寄せと中に入っているSIMカードを幻想郷仕様に書き換える作業のため
電話会社に相談する羽目となった、 


香霖は私が適切な商品を納品してくれると思っているようだがこっちは面倒な手続きを沢山取っている。
右から左へ商品を流通しているわけではないということを香霖には理解して貰いたいものだ。