□月 ●日  No1620 幻想土木工事2


始まりは糞下手な絵であったと思う。
なんですかこれはと尋ねると、ダム湖だと言われたので取り敢えず「アホか」と応えておいた。


やりたいことは何となく分かるのだが、どう考えてもどう見ても実現性が低い。
ボスは早々とこの案件に予算は下ろさないと言っていた。
実現手段が無ければダム湖は作れない。いくらこうしろああしろと言われてもそれが実現困難な代物なら
作らない方がマシだということになる。


そもそもダム工事は危険がつきものだ。大型のダム開発には死者がでることも珍しくない。
水没する用地に住んでいる妖精や妖怪、人間達を移住させないといけないことを考えれば
よほどインフラ的理由がない限り、ダム製造なんてもってのほかである。


やろうとしているのは例の神社だが、集まる河童たちは誰が見ても不良どもばかりだ。
まともな河童ならうちの会社で勤務していたり、工場で働いていたりする。
また河童はエンジニアであって、基本的に多人数でプロジェクトを組むにしても施工する人がいなければ
話にならない。 その部分の発想もないでとりあえず進めていったから人員配備に滞りができて
プロジェクトがあっさり頓挫するのは当然の帰結だった。
彼らは遊んでいると言うより実現不可能な作り方の前に途方に暮れていたのである。


ちなみに正しくプロジェクトを回せば地下の巨大基地を作るのもお手の物であることは言っておく。
だがそれはこちら側の技術者も派遣してようやく可能になることでもある。
こうなるともはや土木工事だ。


とりあえずケロちゃん帽のカミ様も作っている連中に文句を言うより前に計画そのものの技術的
妥当性とか、考察まわりをきちんとやって戴きたい。
迷惑が掛かるのはこちら側なのである。


そんなダム計画はこのたび目出度く頓挫した。