□月 ●日  No1722 デマのゆくえ


香霖堂でアホなものを発見。袋状のこれは空気を貯蔵するためのものだという。
そもそもなぜ空気を貯蔵する必要があるのだろう。圧搾空気ならタイヤの空気補充に
利用できそうな者だがなんとこれにはマウスピースがある、


空気をここにため込んで吸うものだというので、水害に襲われた時にこれで息継ぎを
するものだろうと思ったら、香霖が変なことを言い出した。
彗星が襲ってきたときこれを利用すれば大丈夫だというのである。


余計によく分からないので歴史に詳しそうな上白沢に話を聞くと、彗星が近づくたびに
いろいろなデマが飛び交うそうで、その中の一つに空気がなくなるという話があった。
もちろん妖怪たちにそんなデマは通じないのだが、毎回彗星がくるたびにどんなデマが
飛び交うのか楽しむのが妖怪の流儀だという。


古くから彗星は吉兆を占ったり、人の死になぞられたりと色々な利用のされかたを
してきた。それだけ特別な存在だったわけなのだがおもしろいのは彼らは彗星が
どれくらいの周期でくるのかすでに把握していたことである。
魔術を使うことを考えるとやはり彗星がどんな代物か把握するのが大切なのだろう。


一方このデマで大儲けしたした妖怪もいたらしい。 河童たちは彗星がもたらす
空気デマを利用して空気貯蔵袋をたくさん造り、大いに稼いだという。
もっとも空気がなくなれば貯蔵袋は膨張して破裂すると思うのだが、それを聞くと
どうせ空気がなくならないからと言われた。


香霖堂にあったあの空気袋は河童が作ったものだったために幻想郷にやってきたのだろう。
酷い話である。