□月 ●日  No1777 台風こわい


台風を前に色々考えないとならないことがあるのだが、
どうしても厄介なことが一つある。
それは地底住まいの輩にどうやって台風の怖さを伝えるかと言うことだ。
これがとても厄介である。


昨年でも地底妖怪の何匹かが台風に吹き飛ばされてなかなか帰還できなかったという
ことがある。地底から地上に上がる際は一定時間ごとに位置情報を転送する
マジックアイテムを無料配布して対策にあたったがそれでも対処し切れていないのが
現状である。


地底と地上のゲートは一部を除いて封鎖されている。
ゲート部分は貯水タンクを兼ねており、たとえば嫉妬妖怪のいるところは
貯水層の用水路に橋が架かった場所に謂われを乗せているところだったりする。
貯水層に一時的に水を貯蔵することで大水を防ぐことが可能である。
こうした設備がそこかしこに設置されているのだ。


地底の連中は基本的に強風というものが危険であることを分かっていない。
そんなわけで紙芝居などを作って啓蒙活動をしているのだが
逆に興味を持ってのぞきにいっては吹き飛ばされる事故が多い。
もっとも相手は頑丈な妖怪なので、そうそう人死にまでは至らない。


困った存在は灼熱妖怪である。こいつときたら毎年というより
台風が来るたびに吹き飛ばされる。特性上学習能力を持たない妖怪相手だと
このようなことが頻発する。
ゆえに、やるべき事はほかに興味があるモノで釣るしかないのである。


なお吹き飛ばされる妖精どもは話は別である。こいつらは飛ばされることを楽しんでいる
からである。大迷惑すぎる。