□月 ●日  No1858 画竜点睛を欠く


八雲商事を襲撃したとかいうモーガンとかいう女が普通に帰国した模様。
事故扱いで勝手に戦闘機が墜落したってことになり、みんな避難していたもともあって
人的被害もゼロだった。
岡崎が非戦闘員だと思っていたことがすでに間違いである。


八雲商事を襲撃するのはとても困難だ。情報の伝達速度からして違う。
いざとなったらデバイスレスで意志を伝え合うことができる上、言語を介す必要がないため
ほぼ100%の情報を送り込むことが可能だ。
このシステムが妖怪達に莫大な利益をもたらした。
パーソナルコンピューターが出現し、小型端末が席巻しても未だ妖怪達の優位は崩れていない。


一方岡崎はというと「私を攫ったところであまり意味がない」と言っている。
重要なことは発明することではなく、発明した物を形にして、さらに量産できる状態に
することにあるという。研究室レベルで開発されたものはその全てが実用化されるわけではない。
実用化されても売れずにそのまま消え去るものも数多くある。


しかし発明は一見するととても派手なことだ。たしかにそれに至る道程は長いし、
完成すれば大きな達成感もある。 だが、それが皆の手に渡るとは常に限らない。
そして、それが量産されるには一人の力では不可能である。
岡崎は概ねそんなことを話していた。


北白河は、なぜか1%の閃きと99%の努力ね。と言っていたが。
まあ確かにそれもまた真かなと思っている。岡崎がそのような考えを持っている限り
うちの会社はたぶん安泰だと思うのだ。


これでもうすこし色気があれば 朝倉ほど魔改造する必要はないが。