□月 ●日  No1887 新聞の世界


天狗達が新聞を作り出した時期は定かではないが、博麗大結界が現在の姿になったときには
すでに複数の天狗達が新聞を刊行したことが確認されている。
早い段階から天狗達がそれぞれの立場で新聞を作っているところに幻想郷の情報に関する考え方が
見え隠れするような気がする。


天狗達の新聞を色々なものに再利用するときにその中身を少しばかり読むのだが。
同じ事象に関してもそれぞれの見解に分かれていて、読んでいて面白い。
ネット転載天狗に言わせればそれは情報の多様性とぶれのためだと言う。
特に受け手は信じたい情報しか信じない特性があるから、同じ事をそれぞれに書くと
どれかがニーズに当て嵌まるという。


博麗大結界初期の新聞はほとんど戦況新聞だったと聞く。
博麗大結界成立直後は酷い物資不足に襲われ、妖怪同志のいざこざが耐えなかった。
スペルカードが出来る前の幻想郷はほとんど完全燃焼仕合の有様だった。
それら戦闘結果を客観的に伝えるため天狗達の新聞は飛ぶように売れたらしい。


人間達は無責任にいざこざを起こす妖怪達にオッズをつけて賭け事を行った。
彼らもまた、物資をたたれて生活が厳しくなった者達だが強かだった。
この事態は八雲商事の整備まで続いたらしい。らしいというか見ていないからわからない。


天狗達は博麗大結界成立前からすでに情報の有用性をきちんと認識していた。
同時に情報が巨万の富を生み出すことも知っていた。
天狗達の取った行動は割とシンプルだった。幻想郷で情報を独占すれば自分たちが
巨万の富を得ることになると。実際にはそうにはならなかったわけだが。


ちなみにそうならなかった理由は割と単純だ。
新聞同士で過当競争になったからである。過当競争を生き抜くためには
煽りなどで情報を目立たせるしかない。当然、物事を悪意に満ちた解釈でタイトル付け
する者まで現れ、結局、天狗達の情報はガセネタばかりという見解だけが広まった。
自業自得である。


今では比較的まともな新聞がそこそこ売れて、結局八雲商事は自前で情報を収集するしか
ないわけなのだ。 わかったかクソ天狗ども。