□月 ●日  No1929 大捕物


幻想郷でも犯罪はそれなりに起こる。妖怪相手の犯罪では危険を伴うこともありあまり表に
現れることは少ないがそれでも犯罪は起こる。
特に年末ではその傾向が高まる。お金の問題でどうしても首が回らない状態なら
仕方なく盗みに入る者もいる。ただ、幻想郷では行った後のペナルティが怖い。
空から追い込まれて弾幕で命を落とす者もいる。お金が無い強盗達が身代わり呪符なんて
もっていることはレアケースである(組織的犯罪なら話は別)
面白いのは、顕界であるような強盗が幻想郷にも出現してしまうことがあることである。 


それがどうやって出現しているのかはわからない。
今回出てきたのは泥棒にやってきて、相手に防犯意識を高めるように説教してから
必要以上に盗みをしない説教強盗と呼ばれる存在である。
こういう人物が何故出現したのかはとても気になる部分ではあるのだが、実際問題としては
説教をすることで相手の思考を停止させて通報までの時間稼ぎを行うのが目的であると思われる。
中には通報していない人も居る始末でとても困った次第。
そういう話は社報で知っていたのだが。


そんな説教強盗が捕まったと聞いた。盗みに入った場所が悪かった。 八雲商事の社屋なのだ。
扉は開いていてもホームセキュリティはある。そんなセキュリティシステムが入っているのは
八雲商事の社屋とか施設くらいなものだ。幻想郷では利用できないようなものが社屋内には
存在する。 強盗達が真っ先に困ったのは何を盗んで良いのか分からないことだった。


そうこうしている間にホームセキュリティの警報が鳴り響いた。
彼は相当驚いたことだろうが。さらに具合が悪いことにシャッターが自動で閉まり
相手の逃げ場を奪ってしまうことである。 当然彼にシャッターの開け方なんて分からない。
何しろ私だってよく忘れるのだから。


まあ私の家に強盗が押し入ったわけだが、たぶん窓を開けっ放しにしていたのだろうなあ。
道理で夜寒いと思ったんだ。
私が帰ってきたときには大捕物の後だった訳だ。
説教する側がされる側にまわった強盗。一応霊能局の連中を呼ばれてあえなく御用になった。
運が悪いと言わざるを得ない。


で、結局どうなったかって 泥棒から盗むものが無い家ということで朝倉からからかわれる
ようになったわけだ。 畜生。