□月 ●日  No2433 できないことだってあるのです


 妖怪の山に入山して、指定された道を進むわけですけど、たまに徘徊する人間とかを見かける場合があるのですね。
んで、自称聖人みたいな人からどうして放っておくのですかと非難されるわけなんですけどね。
正直腹に据えかねている部分もあるから、少しその辺文句言ったんですよ。
ハッキリ言いますとね、この辺をどうにかできればどうにかしたいんでしょうけど、現実的に不可能だから
そうなっているんだってことなんですよ。


 自分がそうなったらどうするんだと言う言葉もあるんです。とてもわかるし、出来ればそうしたいのですけど
ならば貴方は引き取るのですかって尋ねたらこう言うのですよ。「家人に聞いてくる」って。
 ふと現実を見てしまったんだろうなと思って苦笑するのですけどね、お前ら社会を救うためにどつきあい暇あるなら
手前の前の現実を直視しろよってことになるんですね。
 

 そうこうしている間に徘徊している人間はどんどん移動しているのですよ。
 自分が何のためにここにいるのかくらいその人は解っているんですよ。だから当然ここで起こった口論のことだって
聞いているし、自分がどうすればいいのかくらいは解っているわけです。
 私としては無言の同意をするしかないんですよ。当然じゃないですか。
 

 んで、自称聖人の人が何時間も待たせたあげく、戻ってきて「ではこっちで引き取ります」って言うんですけど
当然、当事者はとっくに移動しているのですよ。それで、「どうして引き止めないんですか」って私を罵倒しているのは
いいんですけどね、私には見えるのですよ。その奥にある安堵の表情が。


 と「ええじゃないか」と鳴り響く祭囃子を聞きながら、こんなものだよね。と思う今日この頃でありました。
徘徊した人がどうなったかは今となっては知る由もない話。