□月 ●日  No4541 大体無害

 この世の中には人智をこえた者がいるという。
 たとえばアンデッドがそうだ。もっともアンデッドというのは
 一般的に動く死体のことだが、死体でないが、死体になりにくい者も
 含んでいるといわれる。ここにいる人物はマトリョーシカのように
 自分の肉体を複製生成を繰り返している。
 彼は確かにあの時死んだはずだ。
 
 彼の特徴を説明するのはかなり難しい。
 中肉中背、どこにでもいるような一般人。ビジネスマン系の人物。
 普段はワイシャツ、背広に身を包むようなそんなジャパニーズビジネスマン。
 
 しかし、彼は多くの文献にブラックリスト入りを果たしている。
 保険が機能しない人物。臓器移植の禁止リストなどなど。
 一応、彼は移植希望のカードを持っていたが、
 移植されることはおそらくない。そんなもの危険すぎて
 だれも移植しない。さらに言うと闇ルートですら、即廃棄焼却処分が
 必須であり、間違えて移植したら最後、その人物もアンデッドになるという
 噂までたっている。

 ある組織では彼の臓器の一部がアーティファクトになっているという。
 すでに汚染された別の人物もいるそうで、それらは
 ある団体によって研究対象になっているが
 とてもではないが人体移植はもってのほかとのことだ。
 それにしても、彼はいったい何者なのだろうか。