○月 △日  No395 幻想郷に暮らすための手続き


結界のインフレーション現象に乗じて巨大な建造物が幻想郷に舞い降りたらしい。
そこにいる人間を保護せよとお達しがきた。
通常幻想郷に行った人間は妖怪に捕食される運命である。
だがこの人間は捕食しようとした妖怪たちを返り討ちにしているらしいのだ。
どっちを保護するのか初っぱなから疑問に思う。


朝倉に言わせると鴉天狗が博麗の巫女を足止めし時間を稼いでいる間に、
その人物と接触して新型カードを渡せとのことである。
ボスは「話をつけに行ってくる」と残し先に幻想郷入りしているらしい。
朝倉が、いろいろな妖怪のカードのコラージュになってしまったと言っていた。
どうでもいい話だが。


直接会ってみればびっくり、以前介抱したあの態度がでかい女だった。
カードを渡して使い方を説明するが、全然人の話を聞きやしない。
挙げ句こんなカードなんかなくても大丈夫と言うが、こっちとしては
カードを使ってもらわないと色々困る。
宥めすかしたり、ヨイショしたりするのだが、どうもこの女はそういった事に
慣れているらしい。


そうか、この女はプライドが高いんだと気づいたら後は簡単であった。
「これからお前を退治しに巫女がやってくる。 だが君の力では間違って巫女を
 殺めてしまう可能性がある。 このカードを使えばその心配はない」
この言葉に思うことがあるのだろうか、カードの使い方を真剣に聞くように
なってくれた。
彼女はどうやら私と同じ結界の外の住人らしい。 カードの使い方もすぐに
理解してくれた。 頭はいいらしい。


とりあえず観戦しようかとも思ったが、彼女に使うワクチンや薬の手配をするために
後ろ髪引かれつつも基地に戻ることにした。
送電線敷設のための測量棒を挿しておき、巫女に見つからないように気をつけながら
帰路に就いた。
個人的にはこんなお客は願い下げなのだが、そうも言っていられないのだろうな。