□月 ●日  No1202 配送カード


紅魔館に家具運び出し。 容積を減らすため、ノックダウン式になっており鬼や河童に
組み立てて貰うようになっている。 
私がいつも運んでいるのは小口の荷物だったりするのだが、所謂パレット乗せクラスの
大口の荷物の場合は大口荷物用カードという物が存在する。
これをインヴォイスカードと呼んでいる。


インヴォイスカードには弾幕の代わりに、物が置いてある場所の座標が記されている。
列車から降ろされた荷物はカートリッジと呼ばれるコンテナに格納され、
カードから引き出される日を待っている。
紅魔館なら専用倉庫で魔法を発動すると物品が自動的に転送される仕組みだ。


このシステムを小型化することで着せ替えの魔法も実現できるが、
この魔法の場合、入れ替わった衣服を早く洗濯しないと周囲ににおいが伝播して
大変なことになることが確認されている。
あまり言いたくないが意外と不潔な服があったりするので洒落になっていない。
あまりに不潔な場合は廃棄処分となるが、いずこかへ消えてなくなるともっぱらの噂だ。


さて、この日開封した家具がいきなり傷ありだったわけだが、
この場合幻想郷でもきちんと保険が存在する。 保険の胴元は天狗達がやっており
この保険業でちゃっかり外貨を稼いでいる。
掛け金がそれなりに高額なため、もしも傷ありの場合はすぐに保険の適用を申し込んでいる。
相手も割と流れ作業的に支払いに応じる。 それだけ掛け金が高いと言うことだ。


しかし今回の家具はヴァンパイアの主人自らが選んだものだったため
早くこないと駄目だということになってしまった。
仕方がないので、抜き取り検査に使った家具の部品を宛がうことで問題を解決することにする。
抜き取り検査とは、一定ロット毎に幻想郷に運んで良いかどうかをテストするためのサンプル品である。
これを踏まえて商品を発注しないといざ納品時に商品が足りないということが起こるのだ。


今回は抜き取りパーツでどうにかなったが心臓に悪い話である。