□月 ●日  No1203 命蓮寺VS地底世界


ムラサ船長の頼みに開いた口が塞がらない。
いきなり猫撫で声で変なことを頼まれた。地霊殿の近辺に寺を建てたいらしい。
それには地霊殿の主人である古明地さとりに許可を取らないといけないのだが
どうしても上手く交渉できないらしい。 
個人的に地霊殿の主人は私も苦手である。
どこをどうすれば私に話がいくのかわからない。


考えてみるとムラサ船長たち命蓮寺の連中ほど地霊殿の妖怪と相性が悪い存在はない。
地霊殿の主人には命蓮寺の連中の考えていることはすべて筒抜けだからだ。
だからこそ、地霊殿の主人を動かすにはバカになるしかないのだが、
どうしても説法で人を動かそうと考えると、色々な思惑がはたらいてしまう物である。
そこを突かれると、メンタル面の弱さも相まって命蓮寺の連中は驚くほど脆いのだ。


従って、何だかんだ言っても封じられていたというよりは放置されていた
船長達は地下世界で勢力を伸ばすことができなかったのである。
地霊殿の古明地姉妹 パンデモニウムの神綺様 旧地獄市街の鬼たち
彼らはメンタル面で圧倒的な強さを誇っており、多少の揺さぶりでは動じない。
それを含めた封印という意味なのだろう。
考えた人はかなりの切れ者だと思う。


ともあれ、私の考えが正しければ、地霊殿の主人が社を建てるのを反対する理由が
ないとも言える。 一応、船長の願いを承諾して地霊殿の主人に接触したらものの数分で話がついた。
影響がない物ができても意味がないという部分で見解が一致した。


驚いたのは船長達である。大幹部に抜擢するから命蓮寺に来てくれと言われた。
発想がどこかの新興宗教そのもので色々泣ける。
そんなことをしたらあっという間に化けの皮が剥がれるに決まっているだろう。
朝倉あたりが乗り出したら色々終わりだ。
美味しい思いはできそうだがその後のリスクが酷い。


かくして一応社はできたのだが、流石に人やら鬼やらが立ち寄ることもなく
寂れる一方で勿体ない限りだ。 
命蓮寺が幻想郷を席巻する日はまだまだ遠いのである。