□月 ●日  No1396 既に割り切り済み


たまたまやってきた再思の道で外の世界の人間を発見したと思いきや
ノートパソコンを持って何やら実況らしき行動をしている。
一体何をやっているのかと会社に調査を依頼したら動画投稿サイトに
実況を流していた。


霊能局の連中は一体何をしているのだと思っていたら、最近この手の輩が増えており
妖怪達や当局が絡むと事件発生とばかりに大喜びするらしい。
自己顕示欲を満たすためとは言え、無謀極まりない行為に呆れるやら腹立たしいやら
複雑な気分にさせられる。


双眼鏡を用いて遠目で本人を観察しつつ、そこに住んでいる妖怪達に
姿を見せないよう説明。 納品活動にいそしむことに。
動画サイトの様子を見てみたいものだが、そんなことをしたらPDAのバッテリーが
無くなってしまうので放置するに限る。


ここの妖怪に接触したことがあるのかと尋ねると、外部と通信している相手を
襲うのはリスクが大きいことを理解しているらしい。
この手の人間はろくに装備も持たないでこの手のチャレンジをしているので
数日放置するだけで弱ってしまうのだという。


救出しないのかと妖怪の一人に尋ねられたが、直接関わらない旨を話したら
外の世界の人間なのに妖怪みたいになったと言われてしまった。
まあ、言われても仕方ないし、以前の私だったら多分放送をやめさせて諭していたに違いない。


しかし彼らを納得させる言葉が思いつかない。
妖怪に食べられると本当のことを話したらどうかとも思ったが
そんなことをすれば本人の自己顕示欲を満たすことにしかならない。
だから放置する。 放置して何も起こらず、自然の前で無力さを味わって貰うしかない。


外の世界からやってきて妖怪に会って仲良くなるなんて、夢物語と思っていただいてよい。
私だってコネクションがあるからそれなりに接して貰ってるし、万が一の時に制裁を加える
者が待機しているから強気で居られるに過ぎない。
この人物は万に一つ戻ることはないだろうが、運が良ければ博麗の巫女あたりに救出されるかも知れない。
命蓮寺に見つかったらまあ命は助かるが思想レベルで洗脳されそのまま幻想郷の住民となるだろう。
どっちにしろ世間的には死んだも同然だ。


一応霊能局に通報だけはしたが、その人が助かったかどうかは知らない。
気にしていたらこの商売は成り立たないのである。