□月 ●日  No1917 霊能局と愉快な仲魔たち


宮内省霊能局 所謂非公式の組織であり、顕界に出現する妖怪に関するエトセトラを解決する
連中のことである。彼らに一つ身も蓋もない質問をぶつけたらもっと身も蓋もない答えが
帰ってきてしまった。


命蓮寺を指さして「予算があっていいですね」と言ったところ、予算があったら妖怪退治は
みんな無人兵器になっているわと言われた。
今日においては様々な無人兵器がリモートコントロールで戦争を有利に進めている。
一人の英雄が戦争を動かす時代はとっくに終わりを告げているのである。


しかし、近代兵器が妖怪に効果があるかというとこれがかなり微妙なのだという。
鬼娘はドラグノフライフル銃の至近弾を防いで見せたし(霧になっただけともいう)
妖精達は手榴弾の直撃を受けても復活してくる(単にやられて元に戻っただけともいう)


そもそも近代兵器を恐れるような妖怪はとっくに幻想郷へと旅立っている。
八雲商事の出現により妖怪達が幻想郷に行くためのコストはまるでリゾートのパック料金
払うかのような値段で行けるのである。


従って、顕界に残るのは近代兵器くらいではびくともしないような奴らばかりとなる。
もしくは、果てしなくコストが掛かる奴らばかりということだ。
こうなると誰もがこう思う。妖怪退治の専門家を雇った方が安い。
これが霊能局の真実である。 かなりひどい。


妖怪の中には文明的克つ、安定した収入を求めて霊能局の門を叩く者もいる。
彼らは紛争地域で傭兵などをやっていたが、収入の少なさと身の危険を考え
より永く仕事が出来る霊能局を選ぶ者が後を絶たないらしい。


さて、霊能局が命蓮寺と縁があるという話を聞いたことがある。
あの山彦妖怪が命蓮寺にスムーズに入れたのも連中の力添えがあったとか。
そういえば霊能局は命蓮寺を「本山」と言っていたが、たぶんそれと関係があるのだと思う。
願わくば予算がないからといって妖怪輸送を頼まないでくれということである。
まるで子供の遠足だ。