□月 ●日  No1441 んなもん売るな


うちの会社の取扱商品にフェムトファイバーの名前が追加されていて
思わずひっくり返る。 
実はこれまで妖怪を拿捕するには大量の結界を張り、何かに封印するという
とても面倒なプロセスを取っていた。 


フェムトファイバーの取り扱いを決めたのは他でもない社長こと、隙間妖怪その人だ。
自分自身が脱出できないほどの強力な紐ですってのが売りだ。
あまりの商魂逞しさに思わず目眩がする。


しかし自分を捕獲できるほどの代物ならあまりに危ないのではないかと思って
その値入率を知ったらさらにぶっ飛んだ。 量産されているのは知っているが
98%もあるのである。 どれだけぼったくっているのだろう。


もちろんフェムトファイバーを破る方法もきちんと確立された上で
これを売っている。 悪用して妖怪達に悪戯でもされたらかなわないからだ。
フェムトカッターという名前のナイフを使えば取りあえず切れるのだそうだ。
隙間妖怪ならこんなナイフを隠すのはわけがないから、月人に拿捕されても
別に問題なかったのだろうと思う。


フェムトファイバーに限らず、月のグッズがこのところ数種類であるが
売られ始めている。 中でも酷いのは「うさみみバンド」だろう。
耳がヘリコプターの羽のように回転する代物で、空を飛ぶことが出来るらしい。
首が脱臼しそうな気がするのだが、そうならないなにか仕掛けがあるのだろう。


カタログをさらに目を更にして見る。
大丈夫、あの扇子はなかった。