□月 ●日  No1571 小兎姫の手記

朝、何時も通り起床。今日は休みなのに仕事のスケジュール感覚が抜けない。
こういう時は家事を色々こなすに限る。フライパンでフレンチトーストを作り
目玉焼きと一緒に食べた。 贅沢な時間。
あとで気がついたけど、卵を使いすぎた。コレステロールは大丈夫かしら。
ここから掃除をしてゆっくりしようと思っていたのに、お呼び出しがかかり緊急招集。
振替休日に希望を乗せる羽目に。


何でも無人のスポーツカーが高速道路を爆走しているそうだ。
警察の検問を力尽くで突破。米帝なら体当たりで止めているのだろうけど
ここの国はそういう停車ノウハウがないのが辛いところ。
国土が狭いから仕方ないのかもしれない。


移動しながら暴走車の写真を見てみたけどやっぱりドライバーがいない。
警察関係者がもしかすると子供が運転しているのではないかと言う。
成る程、確かに子供が運転していたら分からないだろう。
運転テクニックも近年ではテレビゲームのお陰で違和感なく運転できる
人が多いらしい。


今のままでは判断できないのでまずは近寄ってみることにする。
空を飛んでいるように見えると困るので、草蓮に先回りして貰って
横を追い抜かれるように運転。八雲商事製の瘴気を計測する計測機をセット
2秒だけ横切ると確かにドライバーに誰もいないことが判明。
ここから仕事は警察より霊能局へと移ることになった。
高速道路は早速通行止めに変更となった。 

時速200キロオーバーで走る暴走車を追いかけるのは難儀だしとても危険だ。
そこで、草蓮には飛行機に擬態して貰って追いかけて貰う。
近寄ったらほんの少しだけ空を飛び、近距離より弾幕で仕留めるプランに決定。
幻想郷仕様の弾幕はどうしても弾幕速度があまり速くないのでどうしても
このようなプランを採るしかない。


近距離まで近づいて弾幕を撃とうとしたその瞬間、なんと自動車が話し掛けてきた。
一緒に乗ろうやとか言っていったと思う。
気がついたら自動車の中に乗せられていた。 なんたる不覚。
このままこの妖怪に取り込まれるのかと思ったら、真っ先に言われたのは
どんな曲が聴きたいかということだった? 静かな曲を頼むと言ったら素直にそれに
応じてくれた。 


一体何処に向かっているのか尋ねると、自動車に搭載されているナビで場所を示してくれた。
それを無線で連絡すると、それは普通の民家である。
家の情報を調べて分かった。 ここの家庭の旦那が事故で亡くなっていた。
この乗用車の目的地ははっきりした。 
ここからはこの暴走車を操る幽霊との話になった。 家のことや、残した息子や妻のこと
話をするたびに速度が遅くなっていた。 いつしか速度は普通の制限速度へ落ちていた。


結局、この暴走車を退治するのはやめた。
目的地に到着する頃にはもはや運転する力すら残っていないため、結局自分で
運転する羽目になった。 私を乗せたのは、自分でたどり着けないと分かっていたからなのかも知れない。
報告書にどう書こうか悩むところだったが、とりあえずこの件は解決ということにした。
家に帰った乗用車は結局引き上げられ廃車となったが、結局原因は分からずじまいということにしておいた。