□月 ●日  No2101 ジオフロントの練習場


雨は人妖にとって大敵である。
小雨程度なら何とかなっても大雨になると飛行もおぼつかない。
まず衣服が水を含むため、重量が上がってしまう。
また、身体が冷えすぎて低体温症にもなる。
雨に対する防御機構を持っている自称現人神たちでなければ難しい。
その上、ダウンバーストが来ると人妖も無事では済まない。
行き成り高度が急低下、墜落してそのまま地面に叩きつけられる。


こうした下降気流があるので下手に空を飛ぶのも弾幕ごっこをするのも自殺行為だ。
そもそも戦闘そのものが成立しない。
弾幕が水を含んで本来の軌道よりも下に行くことが多い。こうなると上を取った方が
勝ちという流れにもなるが、実際問題として下降気流を拾って酷いことになる。


しかし、それではあまりに退屈きわまりないと言うことで、最近は
地底とか紅魔館内部とかで半ばスポーツで弾幕戦をやろうという動きがある。
一時間いくらという案配でお金を取る代物で、ある程度の広さもあるし
多少大暴れしても大丈夫だと言うことで、この時期になると俄に活気づくのである。


ここで八雲商事の出番でもある。射検場の機材を持ち出して、スペルカードの
デバッグサービスを行っている。
これはお互いの事故防止のためでもあるし、カードの逆アセンブルのプロセスで
カードの内容を吸い出してプログラム技術の向上や、新しい機能の参考にしたりする。
お互いにとってメリットが大きいとあって、利用する人妖は結構な数がいる。


お腹がすいたり、のどが渇いたりしたときの便乗商売もぬかりない。
鬼や夜雀達が運営する出店に行けばとりあえずお昼も安心だ。
上手くいけば丸一日ここで過ごすことも出来る。
寒くなければ熱くもないので大人気だ。


しかし、こうした地底の場合気をつけないのが地熱による上昇気流。
注意しないと頭上の岩盤に衝突する可能性がある。
人間が突き刺さりそうな岩盤はきちんと平らにならされているが
たまに大けがになる場合もある。 注意されたい。


本当、今は結構便利になったなとつくづく思う。