□月 ●日  No2223 秘封倶楽部(30)


注意 この話は少し後の世界です。



幻想の世界。それは世間から隔絶された世界とされる。
と言いたいところだが、実際にはちょっと違う。世間からは隔絶はされているが
結界は想像以上にゆるいのではないかと思う時がある。 確かに妖怪変化の密度は多いかもしれないが
顕界だってちょっと見れば妖怪変化の類なんていくらだって発見できる。


すなわち幻想の世界と言ってもそこまで隔絶されたものでもなく、みんなが思っている以上に
幻想の世界とは身近な存在である。もちろん仕事の関係でそうなのかもしれない。


我々にとって糞面倒だったのは秘封倶楽部の処遇であった。
なにしろこいつらときたら天性の才能で幻想郷の存在が見えているのである。
彼女からすれば、すでにあることがはっきりしている幻想の世界を追求しないのは
科学を目にしながらも好奇心を持って調べることはしないと思われても仕方ないだろうと思う。


陰謀論的に隠し立てしているだけだからという意見もあるかもしれないが、ここまで話も単純ではない。
陰謀論的に隠し立てしても結局何処からか漏れるのだ。この点は仕方ないところである。
第一秘封倶楽部以外にもいくつか似たような連中がいるわけでありまして、
昔は岡崎とか北白河だってそうなわけで、私は見える世界をどうこうというのは一種の厨二病であると
断定しているのである。


彼女たちがやっていることは端的に言えば大型輸送機の前に巨大な凧を揚げるとか、大型輸送機の上で
ダウンバーストを起こすためにヘリを飛ばすとかのようなものだ。
お前の好奇心に付き合っている暇はないからさっさとうちの会社に入って現実を見ろというのが
割と彼女たちを入れた理由なのではないかと思っている。


個人的にはすぐに音をあげてすぐに会社をやめると思ったのだが、
二人はすっかりベテランのような仕事ぶりをみせている。


ど う し て こ う な っ た


というわけで、二人は幻想郷の天狗連中に火炎瓶のつくり方を教えるのはやめてください。
マジで迷惑です。